◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Leone
……った、誕生日…? …あっ、そっか。そういえば、この前が……――うん、ありがとう、レオーネ。
(形の良い唇から紡ぎ出されたその一単語がすぐに己の記憶と結び付くことはなく、あっ、という間抜けな短音が喉から発されたのは、絡まる指先と此方を一心に見据える仮面越しの瞳にぽっと頬を仄かに染め、視線をうろつかせた末の事で。ここ数日は課題制作の為にほとんど大学に籠り切りだった上、そもそもの興味関心の度合いが余りに低く頭から抜け落ちていたのだが、…覚えていてくれたんだ。当初こそ彼からの過ぎた好意を何処か他人事のように感じていたものの、さすが数ヶ月を経ればじわじわと甘い毒のように己の心身へ緩慢に浸透してゆき。まぁだからこそ、それらに付随し不意に高まる無性の不安感や焦燥が、今宵の夢に現れたという側面もあるのだろうが。先の問答にてどうやら酷く酩酊している訳ではないようだと判じれば、矢継ぎ早の質問の嵐に多少惑いつつも、杞憂を引っ込め快く誘いに応じる事にして。柔い頬を解放し彼のすぐ隣へ腰を下ろすと、一先ずは眼前の赤い液体に満ちるそれをぎこちなく両の手に抱え。…こくり、恐る恐るグラスを傾けるや、まろやかな果実の香りと渋みの少ない甘い味わいがするりと喉を通り、忽ち腹の底へ灯り沸き上がる不思議な熱の感触に瞳を丸くして。)
えっ、えっ? ええっと…お、俺、お酒はまだ飲んだことがなくて。…そんなに、美味しいの?――うわ、わ、…本当だ。飲みやすいし、美味しいね、これ…! これも、仕事先の人から貰ったの?
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