◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Noah
――そっか…お前に会いに来たんだ。“ネーロ”。ノアとちゃんと話せたよ、凄いでしょ。
(明らかにされていない疑問を投げて見上げた矢先、狼狽えながらもあわふたと伸ばされた両の手に視界を奪われて。普段なら呪いや自らの手によって覆い隠すそこに人の手が伸びようものならば、無意識に拒むものを本来の対面を果たせた彼だから弾くでもなく、直に触れられた自身のとは違う人の手の感覚に状況が呑み込めず。慣れぬこそばゆさに奇妙な心拍を打ち続けるも、浮かれ火照り切った肌に伝わる程よい温もりは気持ちの良いもので、寧ろ徐に解かれた束の間の感触に名残惜しくさえ思えて。促されるがままに身を預けた足取りで自室へと向かう最中、重たく垂れ下がった頭では碌に向けられもしないのに、フードの奥に隠れた傍らの彼の方を見遣り。体勢からも覗ける筈の無い彼の顔は案の定視界に捉えることもできないものの、忙しない動悸は決して危険を知らせるものではなく舞い上がるかのような騒ぎ様に、隣に彼を感じながらあの日の約束を果たせたとやんわりと目を細め。――そうこうしているうちに、見慣れた自室へと辿り着きベッドへと下ろされるや早々に寝転び、絶対の信頼を寄せる“黒兎”を抱き寄せ、落ち着く触り心地で柔らかい毛並みの背に小さなリップ音を零す。以前招いた時に紹介した親友に再び相まみえようと赴いたのであればこの飾り気のない部屋への来訪にも合点がいき、預けた腰袋を枕元へと粗雑に放り投げ片しては、住人の頭を撫でながらあどけない幼子のように嬉し気に立派に役目を果たした旨を報告し。初めの方こそ大人しく彼へと耳を傾けていたものの苦い思い出しかない言が出るや、年甲斐もなく体を繕わない駄々を零し抵抗を示すべく口元を黒き背に隠し埋め。けれど、咄嗟の言葉に反応しただけでその意図は汲み取れておらず、とろんとした瞳を瞬かせ小首を傾げる一方で、欲を刺激し惑わす甘言へと次々と畳み掛けるように問い掛けて。)
……やだ。呑みたくない…お腹は、空いたけど……薬は、やだ。欲しくない。………なんで、薬? それより、何でこっち見てくれないの? 何でもってどこまで? 何回でもいいの? そしたらもっと好きになる?
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