◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Junlong
…っえ、へ…ッ!?すッ、すごくなんてないよ…! 俺なんてあの、本当にただ好きだから持ち歩いてるだけ、だし…。
(そう高尚な理由がある訳でもない奇抜な習慣に、素直な賞賛を返されては反射的にあわあわと首を振って全力の否定を述べ。喚起されるように彼の夢の成就へ向けた日々の鍛錬の一端を思い返しては、“――…貴方の方が、よほど凄いよ。”と心からの敬慕の音をぽつりと落とし。次いで、自身の示した先へと向かう彼の背中には「うん、また後でね」と柔く言葉を投げ掛けると、確たる足取りの下自らの目的の方面へと向かい。そう時間を要さず、もはや日々のルーティンの一巻かの如く手慣れた様子で会計を済ませては、購入した品物を肩掛け鞄へと仕舞い、未だ雑貨コーナーに居るだろう彼を迎えに。全国展開の有名チェーン店とはいえ、さすが歩いて回るのに苦心するほど店内は広くはない。じきに彼のすらりと高い背が視界に入っては、片手を上げて控えめに声を掛けつつ、自らも少し変わった形状のコップやペン立て等が並列する商品棚へと視線を落とし)
…あ、あの、お待たせ。…何か、買いたいものは見つかった?
>Leone
――ッ! ……俺、が…あんな事をしたのは……欲しかったから、だよ。…所詮俺なんて、君にとっては取るに足らない、すぐに切り捨てられるような数多の知人の内の一人に過ぎないんじゃないかって、それが堪らなく悲しくて、辛くて、…嫌、で……――どうしても、君が欲しかったから。…所有印のつもりだったんだ、それは。
(ぎこちなくも懸命に回答を紡ぐ彼の白く骨張った手が、不意に項の噛み跡へと伸びるのを見て取りドキリと胸が騒ぐ。同時に沸いた強い罪悪感にそちらへ向かいかけた視線を地へ落とし直そうとするも、視界に映る小刻みの震えがそれを引き留めて。戸惑い憂慮を投げ掛けようと開きかけた口は、続く虚ろの音に衝かれたように動きを止め、一瞬彼の言が理解出来ず呆然とした顔を上げて。…事ここに及びようやく、その可憐な顔貌を彩るあまりに酷い色を認め息を呑むと同時、胸を掻きむしりたくなるような激しい悔悟に強襲され。それは彼の苦悩をまるで察する事が出来なかった失態のみに基づくものではない。彼の信用を勝ち得る所か、奇怪な熱病に振り回されては返って不安を煽るような暴挙に及んでしまった自らの愚かさ無力さに殺意すら沸き上がる。けれど、膨れ上がった夥しい欲と熱く胸奥を焦がす内なる激情を前に、彼の言へ大人しく頷き身を引くなどという殊勝な選択肢だけはとうに失われており。しばしの重い沈黙の後、前振りのない唐突な口火を切り、秘め隠してきた気味悪く醜悪な欲の一端を滔々と白日の下へ晒け出すと、強ばる頬を隠すことなく性急に腰を上げて。そのままつかつかと彼の傍らへ足を運ぶ極々短い間に、先刻密かに殺し切ろうと決意したばかりの――彼への恋慕と向き合い確りとした認知を済ませる。当然、この彼への裏切りに他ならない絶対に報われる事の無い詮無き欲が、この後の何の取り繕いもない言動によっていよいよ露呈してしまうのではないかという恐れは重く認識している。しかし、ただでさえ口下手で頭の回転も鈍く対人スキルにも欠ける己の事、この欲を押し隠しつつ彼への想いを伝える技量もなければ、既に形振りや後先等を構っていられる状況にもなく。あの日のように嘘偽りのない好意を、肯定を、受容をもって少しでも彼の悲痛な憂いを払うべく尽力する事が、今ここで己如きに出来る精一杯と、彼のすぐ隣へ辿り着いては腰を落として膝を床に付け。少しの瞑目の後開かれた双眸には決然の色を宿し、まるで神聖な誓い立てでもするかのように、熱を孕む柔い頬へ片手を伸ばして包むように触れれば、暗く澱む最愛のアメジストを真正面から見据えて。)
……嫌だ。絶対に忘れない、離れない、…逃がさない。……仮面なんて関係ないよ、俺は嫌々君に付き合ってなんていない。…俺はただ、誰より、何より…――本当に、もうどうしようもない程、君の事が好きなんだ。…レオーネ。
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