◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Noah
――多分…今、場繋ぎをしている後輩かな。いつもはお世話になっている常連さんに頼むんだけど、二重奏に喜んで飛びつくだろうから。最近は職場以外でも遊ぶ機会も増えて、連絡も頻繁に来るから…仲は良い方だと思うよ。
(身近な観客から紡がれる率直な好意に満たされた高揚は、緩んだ頬を染める仄かな紅潮となって表れて。けれど、要望の曲への体制を口にするや不自然に途切れ、復唱し返されては影に隠れた表情に小首を傾げ。加えて、心なしか先までの温もりが薄れ陰りに似た腑に落ちない感覚に違和感を覚え、解放されたそれに安堵することなく暫し彼の様子を伺い。何か気に障る失態をしたのかと問い掛けるよりも先に、不意に発せられた問いに声色の変化を気に留めながら、恐らく十中八九選曲を知れば食いついてくるであろう同僚についてを口にし。既に定刻を過ぎては繋ぎに何曲か演じ任せている同僚に、続けて演じさせるのは些か酷な事とも思えても、共に奏でると舞い上がる姿が目に浮かび思わず歯を見せた笑みを零し。楽器を扱える常連客らも居る環境下の中で、演出の一環に二重奏を催しとして共演の希望者を募るのは容易くも、率先してその同僚が名乗りを上げるに違いない。一方的に懐かれているとも取れるが、楽器に限らず他愛のない遊戯ができる友人であることには変わりなく、その者との交際を端的に述べて。投げられた疑問符から単身での演奏を求められていたのではと言葉を足しつつ、同僚の“彼女”や常連客との友誼を匂わせては、目と鼻の先の目的地へと視線を移し。)
最も、何曲かその“彼女”と楽しく弾いたら、いつも通り自由に独奏曲を披露するけどね。じゃないと、『今日は遊ばないのか』って常連さんに弄られるし。――じゃあ、行こうか。
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