人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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他人からの伝え聞きか。真偽が不明だからこその実験は、苔如きに劇的な変化が望めるとは思えんがな……
(彼女の話には半信半疑ながら、口には出さないが花の世話をする小虫達は活性化を促す呪文のような歌を紡ぐとの話を思い出していた。洞窟内の暗闇を仄かに照らす弱々しい光を放つ苔の群れを、使い魔の目を通し確認し。しかし急激に視界が揺れては、無言のまま事の成り行きを眺める。小鳥の体を掴み、眼前に迫る彼女の怒りを宿した瞳と、感情の籠った声が洞窟内に反響する。キンキン高い声で喚くものだ、と感想を抱きつつ静観したまま、小鳥の体も特に抵抗はせず。話に区切りが付いた所で魔法使いは口を開き「何故貴様が俺の動きに制限を掛ける。自然の恵みは貴様の物か?自分で育てた所有物でも無かろうに。貴様は盗って、俺はその数より多く盗ってはいけない理由は何だ?」一気には消費しないだろうが、少しずつ採取し利用すればやがて底がつくだろう。語られる感情論だけではその抗議には納得が行かないと、淡々とした冷えた声で根拠を、理屈を、彼女へと求めようか。「ハッ、俺は貴様と同じ可能性に言及したまでだが?互いに見える範囲が違うのは当然だろう。必ずしも同意が得られると思うな。それに、その程度の変化はさして珍しくも無いだろうが」拗ねたような口振りを面倒臭がるように魔法使いは、鳥を通じて彼女の瞳を睨み。例に出された形の変化や発光する植物にも、自分の世界にはありふれた一つであれば、嫌味は続き。そうして再び鳥の体が頭に座らされれば、好きにしろとばかりに反論は述べず。彼女の歩みに身を任せ暗闇と宝石に満ちた洞窟から、日の当たる外へと出る事だろう)
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