人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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案内すると言っておきながら何だ、その無計画な体たらくさは。貴様の鞄には明かりの一つも持ち歩いていないのか
(軽やかな足取りに揺れ、上下し、闇に呑まれる片側の視界。普段の手伝いから、唐突な魔法使いの都合による予定変更に万全に用意を整える方が無茶な話なのだが。そんな事は関係無いと言わんばかりに、小鳥は首を傾げ彼女の荷物が入った鞄を一瞥し、傲慢な声にため息が交ざる。乞われた願いを叶えるのは癪だが、かと言って断った場合、そんな事も出来ないのかと評価されてはプライドが傷付く。自らの考えや葛藤を纏めるべく数秒の間を置き、小鳥は首の位置を垂直に正し「……只で叶えるのは今回だけだ。次もあるとは思うなよ」遠距離からの魔法の行使に然したる労力は必要無いが。無償で提供し、この出来事をいつか引き合いに出され、再び甘えられでもしたら堪ったものではない。そう釘を刺しつつ、感覚を一部共有する小鳥の体に魔力を込める。すると彼女の頭上の掛けられる重みが僅かに増し、小鳥の体は蛍光灯に設置された昼光色の電球の如く、青白く冷めた色を纏い、発光し。周囲に立ち込める薄暗い闇を払い、足元に転がる魔石の欠片や、洞窟の岩肌、細かな景色を照らし出して行き。その明かりに目覚めたのか、壁際に積まれた小石に擬態した半透明なスライムが数体、ぷるんと体を震わせ動き出し)
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