人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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(少女の瞳が開かれ、呼び掛けられた単語に彼女の見ている景色を妖精は何となく察する。抱擁しようと虚空に向けられた両腕が空気を包み込み、物悲しな色を瞳の奥にも感じ。感想はと水を注ぐよりも前に口を開かれ、今体験した新鮮な感情の込められた言葉には、三日月のように唇の両端を釣り上げ。「あら、そんなに良かった?けど、上にはもっと凄いのも居るのよ」今回は試しにと軽く施し、持続時間も短いものを選んだのだが。魔法に特化した性質では無い為に、謙遜と形容するよりは事実を述べているような口振りで。「自分自身には掛けられないから分からないけど、白馬の王子様か、もしくはヨルが出てくるんじゃないかしら。ちなみにあのエルフに私くらいの魔法は効かないわ。昔は騙せたんだけど、すぐに耐性を付けてきちゃったのよね」夢見る少女に自分の予想と、最初こそ慌てまだ可愛げのあったエルフの仕事や適応の早さを明かし。彼女の側を漂っていた体を空中で留め、空を見る。昼時から一切天候や気温に変化の無い、下界から切り離され停滞した穏やかな世界。しかし結界の外では、今も時間が経過している。自分にはそれが障害とも成らないが、人の間にある本のように、現実に戻った際に何年も経過してしまったら大変だ。「さてと、此処と外は時間にズレがあるから、そろそろ帰さなくちゃね。ヨルの魔法や成長が見れて満足したし、美味しいお菓子もありがとね!」と、帰路を促しつつ、明るく弾んだ声を桜に包まれたこの空間に響かせ)
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