人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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もう少し、ヨルは危機感を持つべきね
(妖精としては脅したつもりが、少女の瞳の奥に輝く虹彩は喜色一色のみが返ってくる。はぁ、と顎を引き重たいため息を地面に吐けば、浮かべていた笑みを霧散させ。本当にもう少し痛い目に合わせた方が良いのでは、と考えが過るが、今は友を傷付ける方法を取りたくは無く。少女の肩からパタパタと虫の如き薄い翅を震わせ飛び立てば、頭よりも高い位置で留まり。「じゃあ魅せてあげる。これが私達の魔法よ」体内に流れる魔力を意図的に背後へと注げば、うすらぼんやりと発光する一対の翅。十分に力が満ちればくるり、くるり、と渦を巻くように。空中で踊るように飛行すれば、淡い光の粉が少女に降り注がれるだろうか。息を吸い鼻腔に、瞼を開いた網膜に、衣類から晒された肌に。少しでも取り込んでしまえば、幻惑の魔法は発動してしまう。そして、有るはずの無い景色が見えてくる筈だ。上を見れば、大きな曲線を描き青空に幾重にも重なって掛けられた虹の橋を。目の前に意識を注げば、記憶を元に再現された、久しく家に帰っていないであろう彼女の父が、桜の木の下で両手を広げ自分達の元に歩いて来る様が)
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