人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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いいえ、これはヨルの力よ!魔石の力の流れを操ったのも、こんなに素敵な景色を私に見せてくれたのも、全部ヨルのお陰よ
(誇りなさい、とその頑張りを認めさせるように。一つひとつの言葉に力を込め、妖精は言葉を紡いでゆく。相手よりも遥かに長い時をこの森で暮らしてきたのに、鼻腔を擽る爽やかで豊かに花の香りや未知の景色を教えてくれたのは貴方なのだと。今も胸に広がり続ける感動を知らせるように、首にしがみ付くように抱き締めた腕に力を込め。そして頬擦りされては、その動きに引っ張られるように頭をぐらぐらと左右に揺らし。やがて魔石に蓄積されていた残り火が消費され燃え付き、花弁は重力に従い緩やかな速度で落下していく。首に絡み付いていた腕を解き、相手の右肩にちょこん、と腰を下ろしその様を静かに見詰め。「見ているとちょっと切ない気持ちになるけれど……でも、これはこれでとっても綺麗よ?──そうね、本当にビックリするくらいの上達振りだわ。昔と比べたらまるで別人みたい」木の葉一つ、ぷるぷると頼りない魔力で包み持ち上げようと躍起になっていたあの頃が遠い昔のようだ。懐かしさを声に滲ませ相手の、少し毛先は伸びてきていても未だショートヘアの部類に該当する黒髪を右手で触れ。その成長振りを好ましく思いながら、上から下に優しく鋤くような動作で撫でてゆき)
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