人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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あら、そんなつもりは無い本心からの言葉だったんだけど……ヨルのそんな優しいところも好きよ
(普段の楽しげな口調とは異なる、鋭く断定的な物言い。あの時は自分が楽しむ為だけに行った悪戯だと自覚している。慣れない森の中、一人置き去りにされた彼女の心境には心細いものがあったかもしれない。流石の相手も怒っただろうかと、親に叱られた子供のように肩をビクッと震わせ小さく縮こまらせるも、それを掻き消すような明るい笑い声。許しを得る弁解の為の虚言では無いと訂正しつつ、甘く寛容なその態度に頬を柔らかに緩め。「へぇ、便利な頭ね。……フェンゼルとグレープル?なぁにそれ、人の名前?パンなんて目印に落としても、風で飛ばされたり踏まれたり、動物や鳥に食べられて意味無さそうだけど。それをやるなら木に傷を付けた方が良いと思うわよ」興味を原動力とする話には素直に感心し、相手の額に視線を向け。例えに出された単語は初めて耳にするものであれば、キョトンと瞳を丸くする。鸚鵡のようにそっくり言葉を繰り返してみるも微妙に間違えつつ、知らないと左右に首を振り一往復してみせ。道を迷わないようにする為の冗談のような対処方法には、至極真面目な顔付きで周囲の木に向け、真っ直ぐ伸ばした人差し指で順々に示しアドバイスを送り。「動物の嗅覚って鋭いのよ?姿を隠してもきっとバレるわ。じゃなきゃ私がユニコーンを見た事が一度くらいはあってもいいはずだもの」姿を見せなければ、との発言には自分としては否定的な意見を述べる。綺麗な湖や泉、沼に訪れた機会は多々ある。時刻も早朝や昼時、深夜であっても、散歩や仕掛けた罠の確認、人を惑わせたりと理由は様々だが、長く森に住まうそんな己でさえ一度も見た事が無いのだ。たまたま縁が無かったと言われればそれまでだが、周囲の妖精からも噂話程度の情報しか得られなかった。用心深く穢れを嫌う性質が真実ならば、やはり側に居ない方が確率は上がるのではとの考えは変わらず。パタパタと羽を震わせ沼からある程度離れてくれば、空気は新鮮さを取り戻し爽やかな風が傍らを通り過ぎて行く。「泉はこっちよ」と声を掛け、整備されていない獣道を曲がれば目的の方角へと、相手の歩く速度に合わせ徐々に進んで行き)
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