人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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……そうだな、もし仮に献上する事が出来た暁には貴様の望み通り、魔法を扱う術の一つを授けてやろう
(恐らく出来ないであろうもしもの話にまともに取り合おうと頭に浮かんだのは、自分以外に注意が向けばいいと、そして教えを乞うてくる相手を断る手段として有用であるとの考えに至ったからであり。一度小さく首を縦に動かし問い掛けに答えてみせてから「契約とはそう簡単に結ぶものではない。故にせぬ」契約に対する軽い認識に眉を寄せ、これが最初の時とは違う口約束である事を示し。「──まったく、迷惑な話だな」貶したつもりの言葉がまさか同意されては、その矛先を向けられた此方の身にもなれと言いたげに深いため息をついて独り言のような呟きを。そして珍しく真面目に働いた相手の様子に向けた言葉への返答の中に弾んだ声や輝かんばかりの笑みを目の当たりにしては、何故そこまで喜ぶのかと困惑気味に口をへの字にキツく曲げ「そうか、期待しないでおく」と素っ気ない返事を口から綴り。やがて日が傾き薄水色の空に朱色が混じり始めたのを確認した所で、自信の込められた呼び掛けに反応し振り返り、披露された切り株の上にじっと視線を注ぎ。「そうだな、日頃どれだけ怠けているかが伺える働きぶりだったな」やれば出来るの言葉に嫌みを添えて深々と頷いては、切り株へと近づくべく歩を進め。右手に携えた杖でトン、と地面を叩くと積み上げられた薬草の下に転移の魔方陣が出現し、周囲の魔素が薬草に覆い被さるように集まり始め、お決まりの『行け』の言葉を合図に一際輝けば、瞬く間に切り株の上にあったはずの山は綺麗さっぱり消えて無くなり)
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