人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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批難したり納得したり、一貫性の無い奴だなまったく。──そうか。ならば俺の考えもまた変わる事は無い
(キャンキャンと煩く吠えたかと思えば、次は己の考えに何度も頷き返し賛同する。コロコロと表情を変える相手の様に顔を顰め、その後の言葉に対しては此方とて折れるつもりは微塵も無いと、鋭くはっきりとした声音で告げ。「それが新たな火種とならねば良いのだがな。……何を大それた事のように言っているのだ?学んだ事を紙に纏めるのは当たり前では無いか。人間とてそれ位は学舎でもしている事だろうに」何も全てを疑うのでは無く、中には誤りのある可能性にも目を向けろと言いたかったのだが訂正するのも面倒だと思えば、右から左へと流すように気のない返事を返し。本を作ると後半に繋げられた内容には、自分が学生の頃は自主的にそうするのが当たり前であったと言うのに、何をわざわざ大袈裟に宣言しているのだろうかと不思議そうに言葉を続け。「そのような日は来ない」耳を打つ返答には首を左右に振りつつ、きっぱりと否定し。やがて一本の大木の前に辿り着けば足を止め、幹に片方の掌を当てては自らの魔力を注ぎ込み「──『開け』」短く、命令するように言の葉を紡げば、それに呼応するかのように木は丁度真ん中部分で縦に一本の線が入り、そこから淡い緑色の光が漏れ出せば静かな音を立て、引き分け戸のように左右に真っ二つに分かれては人間が一人分通れる程度の隙間が開き。その先に広がるのは青い木々でアーチのように作られたトンネルであり。数歩足を踏み込めば、背後の木は再び音を立て一つに戻り行き止まりと化す中、無言のまま奥へと歩を動かし)
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