人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
通報 |
嫌だなぁ、騙すなんてそんな──ッ、
( 当人にとっては共に居れる時間を少しでも引き伸ばすための些細な嘘であったが"騙す"の部分を強調されればそれは大袈裟だと笑ってみせようとし。されど次いで紡がれた言葉もフードの奥から覗く瞳にも、冷たさ、そうして今までとは何処か違う刺々しい雰囲気を感じ取れば途端に言葉は先を行く事無く止まり、流石に堪えたようで今までの笑顔は引っ込みそのまま小さく俯いて。胸の奥に巣くい広がるモヤモヤは魔力ではないだろう。今更課題は出来ていたと本当の事を言った所で再度騙したと言われるのがオチ、しかしこのまま嘘を突き通しても"嘘吐き"のまま。どっちにも転ぶ事の出来ない中で絞り出した言葉すらも相手の機嫌を損ねる材料にしかなり得ぬのなら最早四面楚歌状態で、「……一人で頑張るから、森には入りたい…」こんな時に限っていつもみたいに言葉を乱射出来ないのを内心恨みつつ、漸く絞り出した言葉は小さな小さな我儘で。そうこうしているうちに塗られた緑の薬は肌に浸透し無色透明なものになり、それと同時に痛みが無くなっている事に気が付くと未だピリピリとした違和感の残る舌先を少しばかり気にしつつ「あれは物の例えってやつだよ。──味は最悪だけど効き目は凄いね。バファリンよりきっと重宝するものになる。魔法使いさんは優秀な魔法使いなんだね」前にわたした鎮静剤を思い浮かべ眉の下がったどこかぎこちない笑顔で相手を褒めるも、そんな言葉では相手を繋ぎ止める事も先程の言葉を無かった事にする事も出来ないとわかっており )
トピック検索 |