人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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チッ、人間の小娘一人捕らえられぬとは間抜けな狼め。噛み付かれて逃げ出すなり、森の外まで追いかけ回されれば良かったものの
(冗談や嘘では無く、本当に遭遇していた様子にまた舌打ちをすれば、多少髪や服が乱れてはいるものの大きな怪我もしていない相手の姿を見ては、思惑が外れたとばかりに本音混じりの悪態をつき。「遭難?何の目印も持たずに入って来たのか?貴様等の作り話に出てくるガキ共でさえ、その程度の知識は持ち合わせていたはずだが?」機嫌がさらに低下すれば、昔目を通した童話に出てくる兄弟が石やパンを目印に使った話を出し、馬鹿にしたような口調で続け。しかし掲げられた花にギョッと瞳を見開けば一段下の枝に飛び移り、信じられないとばかりに目を凝らし「何、故貴様如きがその花を……っ!また、またあの羽虫共の仕業か!」夕陽に照らされた相手の肩に、僅かに金色の粉が光るのが見えれば、してやられたと怒りを覚えるラウルの感情に呼応するかのように、梟は耳羽を立ち上げバッと翼を大きく広げては相手を威嚇し。するとどこからか風に流れ、朝方相手の名とエルフ語で書かれたラウルの名が記入された契約書が相手の目の前まで運ばれれば、ピタリと空中で静止し。文中でラウルが提示した「達成できなかった場合、森への立ち入りを禁ずる」の一文がふわりと浮き上がり、やがて黒い粉となり辺りに霧散すれば、相手が望んだ条件のみが残され。その意味を理解したのなら、課題は無事達成された事をその契約書が雄弁に物語る事だろう)
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