人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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ヨ、ル……?
(小さな肺を新鮮な森の空気で満たせば、布が擦れ、何かが取り出される物音に顔だけを横向かせ、視線の先は音の源へと向ける。杖の先が自分を示し、思い遣りの籠もった、願いの言葉が鼓膜を通り抜け、妖精へと届けられる。ぽわ、と。淡く発光する、蛍火のように不安定な。しかし温かく、ほっとするような柔らかな、光。まるで彼女の心根の優しさが宿ったかのような魔力を吸収すれば、体内に取り込まれた毒の残滓が薄く希釈されてゆくかのようで。青白かった顔に赤みが差す。気怠さも軽減されては、ゆっくりと肘を曲げ、それを支えとし上半身のみ起こし。「んっ……ありがとう。ちょっと……楽になってきたわ」彼女を見上げ、口元には小さな笑みを浮かべる。しかし、直ぐに瞳を細め「でも……私だったから良かったけど。さっきみたいな事は危ないって、これで分かったかしら?」再三注意した筈なのに、先の行動は迂闊であったと。眼光の鋭さこそ未だ弱々しくも、咎めるような眼差しを彼女へと妖精は向けてみせ)
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