人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
通報 |
あらぁ、貴女にとってその人の言葉はあまり無視出来ないものなのねぇ。
(誰かの影響を受け方針を固めたらしい彼女。この街の付近にある森には、足を踏み入れたことは無かったが。確か妖精や、エント、ユニコーンも存在していたと記憶している。彼女が示す魔法使いは、街中で人に紛れ暮らす者よりも、人間から離れた隠者に近いのだろうか。転移の用途に「そうなのねぇ」と言葉を返しつつ、そんな想像を働かせ。そして失意の念が正しく彼女に伝われば、些か緊張を孕んだ声音が耳朶を打つ。望んでいた次点の対価は、残念ながら秤の受け皿に載せられなかったが。困るのは彼女であって、自分では無い。懸命に言葉を紡ぎ思い悩む、愛らしい姿に占い師は目尻を緩め。「そう……、友達が居る大事な洞窟。その魔法使いさんが来てしまうと、友達が傷付けられたりぃ、或いは大切な思い出を壊されてしまうのかしらぁ?」詳しい事情を知らなければ、憶測を述べ、さらに言葉を続ける。「対価が今思い付かないのなら、次会える時はいつかは、分からないけれど。その時にでもワタクシは構わないわぁ。あぁ、でも。もしワタクシが決めても良いのなら──その綺麗な瞳は、とても魅力的に思っているとだけ、伝えておくわねぇ?」目の前の少女の感情を如実に顕す、この世で彼女しか持ち得ない、宝の一つ。それを仄めかすだけで、直接要求しないのは、占い師なりに手加減しているのかもしれない。だが自分からは、質問されない限り対価に成り得る物の暗示はしない。苦悩する姿を見るのも娯楽の一つなのだから。うふふ、と楽しげに微笑み。辺りに漂う空気を払拭するよう、新たな話題も投げ掛けようか。「ちなみにぃ、道具なら……んー、……今回はぁこの子達にしましょうかぁ。」それは自分が天秤に載せようとしている品のお披露目。転移に関する魔道具は、私物と対価として受け取った物も含め幾つも保有している。その内からさて、どれにしようか。思案するよう、短く唸り。頬に添えていた指先を剥がし、一本だけ立てた人差し指をくるくると何度か回す。すると天井に煌めく粒子が瞬き、一つの星から一条の光が、薄紫のテーブルクロスの敷かれた上に降り注がれ。光は二つのシルエットとなり、具現化する。現れたのは、引き締まった肉体を持ち、地獄の番犬さながらに、今にも噛みつかんばかりに口を開いた二匹の黒い犬の置物。一匹の目にはルビーが、もう一匹にはサファイアの宝石が目に嵌め込まれていて)
トピック検索 |