人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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あらぁ……それはまた、変わったお悩みねぇ。此処は占いの館であってぇ、便利遣いされる道具屋では無いのだけれど……呪文も教えるのもぉ、ワタクシが結界を張るのも、道具の用意も、必要であれば特注で創造することだって可能よぉ?
(落胆の声の後に要求された内容には、微笑を刻んでいた瞳を満月のように丸め、珍しがるように、占い師は彼女を見詰めた。恋に仕事に人生に。道に迷う姿を間近で眺め、その代わりに助言するのが本来の役割である道楽とは趣旨の異なる部類の願い。穏やかな声音はそのままに、僅かばかりの不満を溢しては、問には全てYESと答え。「具体的には、どんなものが良いのかしらぁ?特定の人物だけを通さないただの壁もぉ、入り口を不可視にすることも、侵入すれば別の場所や次元に飛ばす強制転移も、一歩足を踏み込めば死を齎す呪いの付与も、意識を失わせたりぃ、目的の場所に辿り着かせず永遠に彷徨わす迷宮だって──貴女が望むのであれば不可能じゃないわ」黒のグローブに覆われた指先で一つ、二つ。抽象的な表現から、どの程度の効果を期待しているのか探っていくように。案を告げる毎に指を立て、五指を広げた手の平を彼女に見せ。その手を自分の膝の上に添え直し。「求める重さによって、対価もその分高くなるけれど。貴女は何を用意し、差し出してくれるのか。聞かせて下さるかしら?」天秤の秤に、どのようなメリットを自分に提示して見せてくれるのか。楽しむように占い師は、優しく囁くような声でさらに問。静かに耳を澄ませ、彼女の次の言葉を待つ姿勢に入ろうか)
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