人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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ほぅ。飛行を会得するまでまた道程は遠そうだが……羽虫が人間を招くとは珍しい。
(幾つもの指輪を通した右手の指先を持ち上げ、疎らに無精髭の生えた自身の顎を一撫で。意外そうな声を発し、目線を彼女の鞄へと落とし。「道具は有効に使ってこそ価値ある」石の力を借りるのは狡では無く、当たり前の事。彼女を肯定すると言うよりは、ただ自分の考えを述べただけの淡々としたニュアンスで口を動かし。──彼女に狙いを定め見詰め、今にも食らおうとしていた兎は、後もう一歩の所で避けられてしまえば。ガチン、と上顎と下顎がぶつかる嫌な音を響かせ。空振ったことにむぅ、と頬が膨らんでいる。何で逃げるの?と言わんばかりに不満気な上目遣いで彼女を見上げれば、静止を促された両手の意図を完全無視。諦めないぞー!と諦め悪く再挑戦。ピョンピョンと地を跳ね正面から接近する姿からは、追い掛けっこを続行してゆく意欲に満ちており、そう簡単には止まりそうに無い事実を彼女に叩きつけるだろうか。sosに似た言葉を受け取った魔法使いは「言語変換の魔法か。あるにはあるが……、貴様の為に使ってやるとでも?それに知能の低い相手に言葉が通じた所で、空腹を訴え、食べる事しか脳の無い連中に意味があるとは思えんがな。そいつから逃れたければ木登りか、風で吹き飛ばすか……それこそ宙でも飛んでみたらどうだ?」冷静に一人と一羽の追走劇を眺めながら、マイペースに。魔法使いなら魔法か、梟を差し向け兎を退けさせるのも容易だろう。しかし手を貸すつもりは無さそうで。無茶振りに無茶振りで返し、彼女にとって助言になりそうでならなそうな言葉を紡ぎ。静観する態度は変わらない様子で)
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