人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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まだ枯れてなかったのか。ますます要らんな
(かつて一度目にした植物は、今も記憶に残っている灰色。アレがさらに一回り大きく質量を増した姿を想像しては、館に居る魔法使いは思いっきりしかめっ面を浮かべ、ばっさりと無情にも言い切り。この後の予定への返答を受ければ「30分、か。好きにしろ。だが一分一秒も引き伸ばさん。延長は無しだ」子守りに割く時間に制限が設けられ、後少しで解放されると、ほんのり気分が上を向き。淡々とした声音ながら、却下はせずに了承の意を返し。魔法使いの言葉に呼応してか、使い魔の体がぶるり、と一度震える。それはまるで、タイマーをセットする為に時計の螺を回された機械のように思えたかもしれない。何処へ向かうつもりか、それとも宛は無いのか。行き先は彼女に任せ、残りの時間が早く過ぎないかと考えながらソファーの背凭れに体重を預け足を組めば、投げられた問い。暇潰しには丁度良いと頭を働かせては、口を開き。「無様だった貴様と違って俺には耐性がある。が、毒性は有している。……瘴気の源は魔素だ。魔法により酷使され、消耗し、保有していた力と輝きを失った脱け殻が、全てでは無いにしろ穢れに変換される事がある。或いは、黒魔術系統の呪術の余波が土地に負担を強い、周辺の正常な空気を黒く染める場合もあれば、生物の死骸や、生者の内側にも秘められている妬みや嫉妬等。大雑把に分ければ、悪意や負の感情に分類されるモノから淀みとして生まれ、時にこの世に影響を及ぼしもする。他にも一定の法則に添って発生する現象の一つだな。──この周辺に溜まっている理由は……それ等が集まりやすい窪地になっているのか、瘴気が生まれるまでに至った根強い要因が過去にあったのかは、一概には説明し切れんがな」彼女にとって身近で例えるなら、酸素が二酸化炭素に変換されるように、又は一人の嘆きや憎しみの感情が周囲に伝播し、同調し、連鎖し、恐慌状態に陥ると考えれば、分かりやすいだろうか。目には見えない力が、濁流のように彼女の人体を呑み込み、動きに支障を来す程の流れがこの近辺には渦を巻いている。説明口調ながら、魔の深淵を覗き込み探求する道を好む研究者たる魔法使いは。どこか興味深そうに長々と語り終われば、使い魔の視線を動かし、周辺の景色に目を凝らし)
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