人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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( 滅多に聞く事の出来ない穏やかな程の声色で紡がれた言葉も今は耳に届かない。泥だらけになるのも構わず地面に額をくっつけ蹲る体勢で、ひたすらに襲い来る目眩や頭痛に耐え。ふ、と頬を掠めた涼やかで柔らかな風。それを認識すると同時に酷い息苦しさは幾分かマシに。動くなと言われたものの、暗闇の中でふつふつと小さな不安が湧き上がれば「──まほ、使いさん…?」恐る恐る、と言ったふうに、どこか縋るようにもとれる声色でその名を呼びつつゆっくりと顔を上げて。己を、周りを蝕んでいた瘴気は円を描くように消えている。それに加えて自身の頭のてっぺんから爪先までもを包む優しく暖かな光。血管を流れる血すらも癒される感覚。ピリピリと乱れていた気も、頭痛も、吐き気も、息苦しさも、その何もかもがなくなれば、ほぅ、と一つ息をつき。「…ありがとう魔法使いさん」よいしょ、と立ち上がりお礼を口にする。これが“本物”の魔法なのかもしれない、なんて柄にもなくしんみりと思えば続けて「今度魔法使いさんに会った時、このお礼するね。…あ、貸しもか」小さく笑みを零して )
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