彼方の記憶

わ、ありがとう。
（しばらくテレビを眺めていたものの彼が部屋へと戻ってくると水を手渡してくれて。ちょうど喉も渇いていたために助かると礼を述べ受け取ると彼もソファーに座りやすいようにと横にずれると一口水を含んで。喉も潤えばほっと息をつき）

ああ。悪いな
(こちらの事も考えて横にずれスペースを空けてくれた彼に自身も礼を云うとその場にゆったりと座り、同じく水を飲んで渇ききった喉を潤わせ。空になったコップを机に置いてふぅと息を吐き、ソファーの背に凭れ掛かり)

ふふ、どういたしまして
（礼を述べられると微笑んで頷き、空になったコップを机においては深く背もたれに凭れて伸びをしては｢お風呂に入ってスッキリした？｣と首を傾げ）

ん？ああ…ベタついた汗を流せてさっぱりとした。やはり風呂に入るのは気持ち良いな
(深く背を凭れさせリラックス状態になりながら目を閉じかけたところ、不意に彼から尋ねられそちらへと顔を向け一日中雨が降り湿気のせいで不快であった汗も風呂に入れば改善されて頷き)

今からの時期はお風呂が恋しくなるね。僕はやっぱり秋か春が好きだなぁ
（どう足掻こうと季節が変わるわけでもないためその点に関しては諦めているが、これからもっと暑くなり汗をかくことも多くなるのだろうと思うと苦笑を浮かべて。やはりそう思うと季節的には丁度いい秋か春が過ごしやすいものだなとそう告げ）

それには俺も同意だ。それ以外の季節はあまり苦手だな
(話題は風呂事情から季節について話が上がり自身も彼と同様に、その他の行事などに関する事を抜けば過ごしやすさという点では秋か春が一番好ましい時期。一方の夏と冬は体調が崩しやすい上、暑さや寒さに滅法弱い訳でも無いにしろ苦手意識があるようでこちらも苦笑を浮かべ)

…でも、君と恋人になって初めての夏はいい思い出になりそうだ
（彼の言葉に耳を傾け相槌を打つと徐に口を開いて上記を述べ。彼と何度も夏を過ごしたことはあるが、恋人同士になってからは初めてになる。この夏はお互いに特別な夏になるかもしれないと思えば笑み浮かべ）

そうだな、お前とならこの夏を乗り切れる気がする。あのアルバムに載せれる様な思い出を沢山作らないとな
(暑さや過ごしにくい時期に囚われすぎたのか徐に口を開いた彼の言葉を聞けば、この季節に苦手意識を持つものの嫌な事だけでなく今年の夏は今までと違って恋人と過ごせる。そう考えると良い事もあり悪くないなと思いながらふっと柔く笑い)

ふふ、そうだね。たくさん思い出作ろうね
（彼と過ごす日々は何気ないことでも楽しく、笑顔でそう言葉を交わして。それからそっと彼の頬に口付けをすると｢でもこれは僕らだけの思い出だね｣とニッと笑み浮かべ続け）

俺らの思い出、か。何だか特別な感じがするな
(そっと軽く頬に口付けをされて白い歯を見せ笑う表情見れば、二人だけの思い出という言葉に特別な感じがして双眸を細めつつそう言って)

あはは、確かにそうだね
（特別だと言われると確かにそうだと微笑み返して。それから肩に頭を凭れさせると彼と色々な時間を過ごす中でもこうした時間が一番好きだなと思い）

こうしている時が一番幸せだ
(こちらの肩に凭れてきた事がわかり首を傾けて、自身もその頭に軽く頭を乗せ。彼の手の甲にそっと手を重ね目を閉じれば、どんな些細な日常でも一緒に過ごす日々はどれも大切な時間。幸せを噛み締める様に呟いて)

僕も一緒だ、君と過ごすどんな時間の中でもこうしてる時が一番好きだよ
（互いがより密着したまま手を重ねられると幸福感に心が暖かくなるような感じがしては目を閉じて微笑んでそう言って。彼の温もりを一番傍で感じられては｢長谷部くん、大好きだよ｣と続けて）

俺も好きだ、光忠。
(彼の温もりを肌で感じながらぽかぽかと心の奥が暖かくなりそれが心地良く、目を閉じたまま自身と同じ気持ちだった事を知り。それに続くように、愛の告白をされるとゆっくりと目を開けそう伝え返せば口元が緩み)

えへへ、嬉しいなぁ
（自身の告白に応えるように好きだと言われると嬉しそうに何処か恥ずかしいような顔で笑み浮かべて。そうして暫くただ寄り添っていたものの壁に掛けられた時計を見るとそろそろ寝なければ行けない時間になり｢そろそろ寝なくちゃ｣と立ち上がって）

そうだな、明日に差し支える。もう寝るか
(ふと、就寝時間になれば立ち上がる姿が横目で見えて明日は学校の日であるため寝坊させる訳にも行かず。一日色々な事があり疲れから眠気に誘われ自身も立ち上がるとコップを重ね、流し台に持って行きそのまま部屋に入れば布団を敷いて就寝前の挨拶を交わし眠りにつき)

（自身も疲れは溜まっていたようですぐに眠りへとつけば久々に夢を見て。本丸での平穏な日常を過ごすだけの夢ではあったがやはり懐かしく感じて。目を覚ますと目覚まし時計がなる前だったようで身体を起こしたものの、眠気と戦いながらもうつらうつらとしていて）

(気持ち良さそうな表情ですうすうと規則正しい寝息を立てて未だ眠っており一度寝返りを打てば、暫くしてからけたたましく鳴り響く目覚まし時計の音で目を覚ますと上体を起こし。代わりにその音を止め、ベッドの上に居る彼の方を見遣りうとうととしている様子。「おはよう光忠。…まだ眠そうだな」と挨拶をして)

んん、おはよう長谷部くん
（しばらくすると目覚まし時計の音に彼が目を覚ましたようで。はふ、と欠伸を洩らしながら寝ぼけ眼で彼の方を見やると微笑んで挨拶をして）

今日は俺が朝食を作るから、その間にお前は学校の用意をしろよ
(その場で腕を天井に向けんー、と唸りつつ伸びをして、挨拶を返されると布団を畳んで仕舞い。現在の時間を確認するとそろそろ自身達の身支度や朝御飯の準備をしなければと思うと彼の方に向き直り、そう告げては部屋を出て洗面所で顔を洗うとそのままキッチンに向かい)