桃亜 2015-04-30 21:55:36 |
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はぁ、と三度目の溜め息。
「…じゃあ、怒っている理由だけでも教えてくれないか」
いつまで経っても機嫌を直さない赤羽に、僕は理由を聞くことにした。
それが分かれば、赤羽の機嫌を直す糸口になるかも知れない。
「…………」
また無視か。
そう思った僕は、もう一度口を開き、赤羽に呼び掛けようとする。
「………だよ」
小さく、耳をすまさなければ聞こえないような声。
それは、拗ねた子供の声のようであって。
赤羽の、声だった。
「何だ?もう一度言ってくれ」
「だから、浅野が……、………」
浅野クン、じゃなく浅野。
不意打ちに僕の胸がキュン、と締め付けられる。
……違う、何がキュン、だ。それは今じゃないだろ!
「聞こえない、もう一度言ってくれ」
「だから!
……っ、あ、さのが……。」
繰り返し訊いてくる僕に苛ついたのか、赤羽は声を大きくした。
だが、「浅野が」から先を中々言ってくれない。
「浅野が、何だ?」
僕が先を促すと、赤羽は顔を少し赤くして、僕をチラリと睨むような目で
みた。
「だから……、あ、さの…が、勉強ばっかして………
全然、俺に構ってくんないから…」
「……………。は?」
一瞬、僕の思考回路がショートする。
理由を口にするのがよっぽどの屈辱だったのか、赤羽は荷物を纏めて僕の部屋から出ていこうとする。
赤羽の手がドアのノブに掛かったところで、僕は赤羽を両腕の間で動けなくするように、ドアにその両手を置いた。
「………っ、何」
僕の行動が予想外だったのか、赤羽は顔をもっと赤くし、僕を睨む。
「…君がそういう可愛いことを言うから、帰したくなくなってな」
「~~っ…、ばか」
「馬鹿で結構だ」
ちゅ、と赤羽に短いキスをする。
「だから許せ、赤羽」
「………、二度目はないからね」
end.
終わった\(>∀<)/
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