掴み所のない僕たち【赤司×カノ】

……。(良かった。気付いていないみたいだ。しっかりと皿を洗い終えてリビングへと向かえば眠そうにする相手が。珍しいな、なんて思いながら隣にぽふ、と座れば「昨日、寝てないの？」なんて聞いてみようか。きっと相手のことだから素直に口にはしないだろうけど。)

君は人の事を心配し過ぎだ。少しは自分の心配をしろ(心を許した相手だから人前で無防備な姿を晒すのは珍しい。しかし、友人だからといってだらしない姿を見せる訳にいかないと、声をかけられれば重たい瞼を開け普段通りの己に戻して。なんて事ない様なふりをして。「体調管理は自分でできているから問題無い。」と何とも可愛げの欠片のない事を)

…ごめん。僕洗濯機回してくる。(余り開いていない目を見れば誰にだってわかる。きっと無理してるな。なんて思うがきっと何言っても聞かないだろう。適当に理由をつけて暫くリビングから離れようか。…強がっちゃって。バレバレなのに。なんて心の中で思っていて。)

…分かった(人に己の感情を読ませない様にするのも、取り繕うのも得意。きっと今ので上手く誤魔化せたはず。相手が己が寝不足なのを気付いているとは思わずに。己の側を離れようとする相手に今一人になったら寝てしまう可能性があると、行かないでなんて手を伸ばし引き止めようとするがやはり駄目だとぐいっと堪えてそれはせず。人に甘えるという行為を知らないのか、微笑を浮かべなんて事ない様に振る舞い。寝ない様にと、鞄から部活の予定表、練習メニューを出し。頭を働かせようと今後について考え始め)

…ごめん。僕の所為だよね。(影から相手を見れば、眠らないようになんとか目を開けてなにやら作業をしだした相手。1人になるところっと寝てしまうだろう、という考えはどうやら甘過ぎたようだ。だからと言って今自分が行ってもきっと寝てはくれない。暫くは此処で待機しておこうか。)

…そうやってすぐ自分を責めるのは君の悪い癖だ。それに僕はわざわざ君の為に行動してあげる程優しい人間じゃないと前も言っただろう。(僕の所為…これで何度目の台詞だろうか。いきなりの言葉によく分からないものの、その言葉を聞くのは嫌い、謝られるのも御免だ。もしかしたら己がそう言わせてしまってるのかもしれないけれど。相手がこれ以上追い詰めない様に冷たい言葉を述べては、眠るつもりは無い様で再び資料に視線を戻し。)

それじゃぁ僕が納得しないよ。ねぇお願い。少しだけで良いから寝てよ！(何処まで優しい人なんだ。自分に浴びせられた言葉は正直グサッときた。なんて自分は無力なんだろう。結局はこうやって資料を奪って相手の頭を自分の肩に引き寄せるような強引なやり方でしか相手の動きは止められないのだ。それでも、これで相手が折れてくれるならいくらでもやってみせるよ。大事な…友達だから。)

そのうち僕が最低な人間だって分かるよ…って僕は大丈夫だから。一日や二日の徹夜何て事無い(相手の為に行動してると言っても只それは自分のエゴ、自分のしたい事をしただけで聞こえが良いだけ。現に目の前の友人に酷い事を言ってるではないか。それでも己に構う相手にはぁと呆れ気味に言えば、ばれていたのか。寝てと資料を取り上げられてしまい。言われた通りに寝るなんて甘えを知らないから、更に心配をかける事とは知らず依然平気なふりを続け。)

…甘える事も大事な事だよ？家でも甘える事なかっただろうからわかんないと思うけど、こういう時は素直にありがとうって言って寝てくれた方が嬉しいんだよ？(最低な人間なんて、相手の口から聞きたくない。それに返す言葉にも困れば、中々返答が出来ないでいて。何を言われても資料を返す気はない。…隣の家は自分と違って名が知れている家。そんな家に産まれた相手はきっと甘えるなんて事はしてこなかったのだろう。昔から変わらない性格に少し悲しくなる。自分は甘えただから分かるが、甘える、という単語を知らない相手にどう伝えればいいのか悩む。自分は相手より頭が悪いから上手く言葉にはできないけど、フィーリングで伝わってくれるだろうか。)

…平気だと言っているのに。(流石にそんな事を言わてしまえば、言う事を聞かざる負えないではないか。何だかんだ押しが弱いのを見破られてるのか、やはりお人好しばかなのか今回は相手の策略にはまってあげよう。しかし素直には到底慣れず相変わらずぶっきら棒に上記を述べては、ゆっくりと相手に体を預けてみたりして。甘えるとはこれでいいのか、初めて甘やかされた為どうもよく分からず若干戸惑いつつ。己より少しだけ小さな体の彼に重くないだろうかとやはり心配になり離れたり。)

僕は全然大丈夫だから。(グイッと肩を自分に寄せる。少し気恥ずかしい気持ちもあるが、それはきっと考え過ぎだ。友達なのに何を意識する必要があるか。それにしても本当に甘えると言うことを知らないのだな。今だぶっきらぼうに返される言葉が可愛く感じてしまう。ふふ、と笑うと「おやすみ。」なんて言っては相手の目を手で隠して。)

…っ‼︎5分で仮眠は充分だから、5分たったら起こしてくれ(相手の行動に吃驚するが、何でだろう相手だから安心出来るのか居心地が良い。友人であれ、人前で寝るなんて無防備な姿を晒すの抵抗があったのに。けれど、甘える事も必要だと言ってくれたけれど、これ以上迷惑をかける訳にはいかない。5分だけで良いと上記を発しては、ゆっくりと瞼を閉じ完全に身を委ねて)

了解。(ヘラヘラっと笑うと手を離して。数回相手の頭を撫でれば、此方も遠慮がちに体重を相手にかけてみる。なんだか自分が優位にたったようで少しだけ気分がいいなんて口では言えないが。君が僕を助けてくれた変わりに君が知らないこんな事を沢山教えてあげるよ。そしていつかはいい家庭持って、君に似たような子供が出来て…奥さんは少しドジだったらポイント高いよね。なんて将来の相手の姿を想像なんてしてみる。「……寂しいよね。」なんて呟けば、此方も瞼を閉じて。)

…(人の温もりがこんなに暖かいものだとは知らなかった。ずっとこうしていたなんて、暖かいものに触れれば離しがたくなる。己がそんな事を求めてはいけないのに。一緒にいたけれどこれ以上相手に依存してはいけない、ゆっくり離れて一人にならなければ。相手の負担にだけはなりたくない。内心そう決意しては、相手の体温が暖かくて直ぐに眠気を誘い、規則正しい寝息を立て眠りにつき)

……赤司くんは僕がいなくなった所で特に変わらないだろうなぁ。僕は君がいなかったら頼れる人がいないんだよ。…だからずっとお隣さんの幼馴染でいさせてよ。(既に五分は過ぎているが、最初から起こすつもりもなかった自分は起こすわけもなく。ただ相手の頭を撫でながらふと思った事を述べるが、勿論返答がくるわけでもなく、「でも甘えちゃダメだよね。依存しちゃったら君を縛り付けちゃうよ。」なんて。今だってそうだ。自分が口を滑らせたお陰で行動が制限されてしまっている。どうしようもない人間だな。)

…僕の本性を知ったら君から離れていくさ。それに僕の代わりなんて直ぐ見つかるよ(ふと頭を撫でられる優しい感触に、どれ位時間が経ったのか分からないが確実に5分は過ぎている様な。己から言い出した事なのに、目を開けようとするが思いもよらぬ相手の呟きが耳に入り。本当は、昨日言った寂しく死にそうだったって本当だったんだけどな。それは違うと心の中で否定の言葉をかけるだけにして、教えはあげないけど。依存してるのは此方の方なのに。馬鹿だなぁなんて。学校に行けば相手の性格から直ぐに友達だって彼女だって出来る。己なんてすぐ不必要になると此方も呟き。「…5分以上寝てしまったみたいだ、すまない」と体を起こして)

…本性、本性って。僕達幼なじみなのに君の本性も僕はわかってないの？(ふと目を覚ました相手に問いかける。だとしたらどうして教えてくれないのだろうか。「君の本性がどんなに最悪だったとしても、僕は君の優しい所を知ってる。それと、赤司くんの代わりなんで誰にもできないよ。僕は君がいいな…なんて。」としみじみという。話していて途中恥ずかしくなったのか最後は言葉を濁してしまった。体を起こす相手を横目でみれば「おはよう。」なんて言ってみようか。)

(すいません！今日はこの辺で落ちます！また明日朝はやめにきますね！!

僕に優しい所なんて無い。…騙しててごめんね(己がどんな酷い事を言っても次には優しい言葉が帰ってくる。一層の事怒ってくれ、嫌われた方が楽なのに。そしたら遠慮無く突き放せるのに。今までの己が嘘だったなんて表現をすればいいだろうか。己の側にいたら依存して相手の未来を奪ってしまいそうで怖い、離れた方がいいと上記。「おはよう、5分経ったら起こしてくれて良かったのに」とまだ眠そうな表情ながらも挨拶を)

(遅くまでお相手感謝です。おやすみなさーい。了解でーす！)

……嘘付け。君が僕に見せてた笑顔に嘘なんて無かったよ。僕は嘘を見分けるのは得意なんだ。(何をここまで相手は嘘をつき続けるのか。悲しげな表情を浮かべると上記。暫く無言でいながら、「ねぇ、どうしてそんなに僕から離れたがるの？」なんて聞いてしまう。何か悪いことでもしたのだろうか。それともやはり庶民と一緒にいたら馬鹿にされるとか？それだったら離れるべきだが、今の状況ではよく掴めていない。お願いだ。本音を聞かせて。)

(おはようございます！あげておきますね！)

…お人好しばかもここまで来れば末期だよ(相手で無ければすんなり通った嘘もどうしてこうも容易く見破られてしまうのだろう。長年の付き合いだからか、感が鋭いからか。悲しげな表情を見れば、苦笑をしやれやれと困った表情を浮かべ上記を。「″嫌い″だからって言ったら納得してくれるかい？」寧ろ逆なんだけど。このままだったら相手への感情が恋愛感情に変わりそうで、幼馴染でさえもいられない気がするから。それなら距離をとった方がいいと、嘘をつくのは得意。けど直ぐに今みたく見破られて気づかれてしまうから。そんな事言える筈も無いから、相手の頬をむにっと掴み一番相手の納得しそうな言葉を放ち)

(おはよーです‼︎なんだか切なめモードになってしまって…。ぐだくだ赤司で申し訳ないです)