1と2分の1暮らし/〆

っわ、びっくりしたー。
(自分の手を握ったまま相手が起き上がったので、空中を勢いよく動いてびっくりした表情を見せる。それでも自分の望んだハンバーグが食べられるのだと分かると嬉しそうに笑顔を見せる。「サンキューな、ハンバーグ楽しみだ」とその嬉しそうな様子から無いはずの動物の尻尾がパタパタと動いているのが見えて。)

お前ワンコみたいだな。...一緒に行くか？買いもん。
(リュックを背負い準備万端だとばかりに相手を振り返りすっと手を差し伸べ。料理ができない身としては何をどれだけ買えばいいかも分からないので来てもらった方がありがたい、とは言えず「開もずっとここに閉じこもってんだろ？」と手招きして)

おう、行く。いつもあんまり外出ないから新鮮だな。
(時々気ままに外に出てはいるのだか直ぐに落ち着かなくなり、部屋に飛んでくるように戻ってきてしまう。そのため満足に外を見ることが出来ないため、誘ってもらえるのはありがたい、と手招きに誘われて相手の頭上に移動する。「隣で手繋いでたら変に見えるからここ持っとくな」そう言って掴んだのはリュック上部にある持ち手の部分。肩に手を置くとむしろ憑かれてそうに見えるため、ちょこんと握ってみる。)

あぁそっか、お前人には見えないんだっけ...
(肩口に乗った手にクスッと微笑み、そのまま家を出て。運良く徒歩圏内にあるスーパーへと足を進める途中、公園が見えて「懐かしいな。開もちっちゃい頃公園通いした？」と振り返りつつ問いかけ)

…してない、ずっと部屋の中で絵描いてた。
(キイキイと金属が擦れる音が聞こえたので顔を向けてみると、ひとりでに揺れているブランコが目に入った。相手の言葉と共に思い出したのは幼い頃の記憶。キイキイと軋む金属音が聞こえる部屋の中で小さな机に向かって絵を描く視点からベランダに向かって行く視点に変り、ブランコに乗って遊んでいる幼い子供の姿が映る。「ブランコと…男の怒鳴り声」視界がぼやけ始めると頭の中では煩いほどに蝉時雨と何かを叫ぶ男の怒鳴り声が聞こえ始めて。)

どうした？...おーい、
(公演を通り過ぎたところで相手がなにか考え込んでいるのに気づき目の前で手を振って見せ。「なんかやなこと思い出させた？」不安げに問い掛けつつ曲がり角を曲がればスーパーに到着してしまい)

え、あぁ、大丈夫だ。
(手の前で振られる手にはっと気づくと頭の中の蝉時雨も怒鳴り声も止んでいて、無意識に息を吐く。多分今思い出したのが自分の過去なのだろうか、朧気な記憶の中から引っ張り出されたそれは酷く不快であった。「ちょっと変なの思い出しただけだから気にしないでくれ」と申し訳なさそうに苦笑いしてほほをかき、限外に早く行こうとリュックを軽く引っぱって)

そっか、ならいいんだけどさ...あ！待って！
(スーパーの入口。綺麗に粒の揃ったイチゴを見つけ、ひとパック手に取れば「お前イチゴ食える？デザートにと思って...」と背後にそれを掲げて見せ。周りの客たちに見られているのも気にせず「美味そうだよな、...あ、あとこれとか。」ポップにドラゴンフルーツ、と書かれた見たこともない真っピンクのフルーツを手に取り)

イチゴは好き、そっちのよくわかんねーのはやめとけ。
(店内のお客が不思議そうに見るのをチラ見しながら、ドラゴンフルーツを手に取る相手の腕に手を添えて首を横に振る。変わりにパイナップルが切り分けられて入っているプラスチックの箱を指さして「俺はあれの方がいい」と誘導して)

お、パイナップルか。じゃあイチゴとこれ。
(素直にドラゴンフルーツを置きパイナップルのカップを取りカゴに入れて。中へ進んでいけば新発売のスナック菓子を見つけそれもカゴに放り込み。やっと目的の生肉コーナーへたどり着けば「ひき肉、だよな？」と徳用パックの大きなひき肉の塊を手に取って相手に見せ)

ん、ひき肉。あとはパン粉とか卵、牛乳、玉ねぎかな…
(大きなひき肉を見て、うんうんと頷く。記憶を頑張って思い出してみては使っていたような材料を呟いてみる。と言っても作り方はあまり分からないし、そもそも作ることはできない。「旨く出来るといいなー」とふわふわ浮きながら述べればカルピスがお得用で販売されていてそれをじーっと見つめて)

あんま期待すんなよ？ってか、そんなに材料あんだな...
(相手が言ってくれた材料を探しに行こうと歩き出せば相手の視線に気づきカルピスを手に取り。子供の頃に自分も好きで毎日のように飲んだな、と懐かしく思いつつ「これ好き？買ってこうか？」と相手を振り返り)

ん、飲む。ありがとう。
(カルピスを買ってくれるらしいので目をキラキラと輝かせれば嬉しそうに笑う。久しぶりに飲食への欲が出てきたため、こんな感じの生活も楽しいなと思い始める。「雪はチョコミントの他に好きなやつはあるのか？」と少し疑問に思ったことを聞いてみて)

んー...あとは豆腐！あと抹茶プリンも好き。
(ちょうど通りかかったコーナー似合った絹豆腐を手に取り「これも買っていい？」と返事は聞かずにカゴに放り込み。どうやら食に対する意欲も湧いてきたらしい相手に嬉しく思いつつ「俺料理はあんまりだけどさ、食うのは大好きだぞ！」と何故か自信ありげに微笑み)

俺も食うのは好きだぞ。あと果物だな。
(料理はあんまりだと言いながら笑う相手におかしくてふは、と笑ってしまう。自分も食べることには同意し、好きなものも伝える。「俺もそばで手伝えることは手伝うからがんばろーな」と相手の頭をクシャりと撫でて。)

ん、頼むぞ！...よし、こんなもんだろ。
(撫でられれば擽ったそうに笑い、付け合せのコーンや調味料などを調達しレジへ向かえば「楽しみだな、早く帰ろうぜ。」と列に並びつつ呟き。前の主婦に不思議そうな目で見られるも軽く会釈をしてやり過ごし)

…雪はいつも幽霊とかに話しかけて変に見られるのか？
（相手を不思議そうに見る主婦の視線に眉を寄せればいつもこんな風に接しているのかと気になって気になってしまった。「いじめられることって無かったのか？」人は自分とは違う者をいじめてしまうことがあり、これまでいじめを受けていたのならば今自分と接しているのも申し訳ないと思って。）

ああ、見えるもんは見えるからな。話も普通に...いじめ？よくわかんねーな。
(こくりと頷けばそう言えば小さい頃は寺の息子と言うだけでお化けが見えるんだろう、だの呪われるから近寄るな、だの言われてきたが特段気にもしていなかったのではて、と首を傾げ「いじめってどっからだろうな？」ニカッと笑って相手の頭をぐしゃっと撫で)

んー…自分が肉体的、精神的に辛かったら…？
(多分こうかな？と思ったことを伝え、頭を撫でられれば気持ちよさに瞼を閉じる。「…でも今の様子だといじめられても気にしなさそうだな…」と相手の様子にため息こぼし、性格を考えると気軽に幽霊に話しかけて煙たがられることがあったのだろうと、なるべく目を離さないようにしようと心に決めて)

じゃあいじめられてないな！
(相手の答えを聴けば大きく頷き大丈夫だと述べ。レジを通してもらっている間もふよふよと自分の後ろに浮いている相手が気になるのかそちらを振り返りつつ「そうだな、大抵の事じゃ俺の敵にもなんないな！」とドヤ顔を披露し)