AB型 2019-08-08 01:31:39 |
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>>2644 晃太
──ッ…!
(彼の白い手が刃を貫いた瞬間、ドクンと心臓が跳ね血流が波打つ。今、誰の手が傷付いた…?全身の細胞が騒ぎ立ち頭が酷く痛い。喉元までその名前が出ているのに出てこない。彼の名前を呼んで早く出血を止めなと…それなのに頭痛が邪魔をして体が動かない。その内に健二の体が吹き飛ばされて──。健二は思惑通り彼が割って入ってきたことに口角を上げるが、その手をナイフが貫いてもなお怯まない彼の表情に恐れ慄く。その隙を付かれ殴り飛ばされては表情を歪め『…ぐッ…てめ、ざけんなよ!!』と罵声を浴びせるも胸ぐらを掴まれると彼と睨み返しその言葉を聞いて。『……は、何を言うかと思えば。俺はアイツをちゃんと理解してる。優しくて思いやりがあって努力家…その上他人優先で自己犠牲的…そういうところが鼻についてうざかった。所詮は偽善者。俺の為、自分よりも他人、そうやって自分の立場守って責任逃れしてるだけじゃねーか。俺はそういう良い子ちゃんが大嫌いだし、心が折れてボロボロになってくところを見るのが大好きなんだよ。だからアイツなんて微塵も愛してなかった。俺にまだ愛があると思って毎日健気に待って言うこと聞いてマジ滑稽だったよ。まぁ、体だけは良かったかな。』彼の真っ直ぐな言葉に健二は憎々しく顔を顰めるも鼻で嘲り本性を顕にして嘲笑を浮かべる。彼の涙には流石に瞠目するが、それでも健二は態度を変えること無く胸ぐらを掴む彼の手をギシリと掴み『どうせお前も似た人種だろ?大事な人の為なら自分が傷付くのを厭わない。お似合いじゃねーか。渡さない?そんな言われなくてもとっくにアイツなんて捨ててんだからてめぇにくれてやるよッ!俺の上でいつまでもピーピー泣いてんじゃねぇ!!』健二は逆上して罵倒すると彼の血塗れの左手を強く握ってその体を押しのけようとして。─── 彼と恋人が何か言い合いをしている。…恋人?本当に健二は恋人なのか。脳内をかき回されるような頭痛と共に耳鳴りがするせいではっきりと聞き取れない。でも彼の声が…彼の言葉だけが何故か妙にクリアに聞こえる。…唯一無二…かけがえのない人…傍に居たい…渡さない…“駿さん”と呼ぶその声──ああ…彼が泣いている。一人で辛いのに涙を流す心を懸命に奮い立たせて…辛くても悲しくても誰かに優しさを向けられる彼…今すぐに抱きしめて上げないと…自分の大事な人、たった一人の愛しい恋人───「…晃太ッ!!」気づけば叫んでいた。そして健二が彼の左手を握り突き放そうとするところに駆け寄り健二の体を突き飛ばすとその間に割って入り地面に膝を付いて彼に向き、未だにドクドクと止めどなく鮮血が流れる左手を優しく取って。「…血が、…止まらな…晃太、…こうた…大丈夫だから、すぐ血止めて…救急車…っ、」脳内を記憶が走馬灯のように駆け巡り混乱していて、それでも何となかしないと涙目になりながら自分の着ていた薄手の上着を脱ぐと躊躇いなく引き裂いて彼の左手に巻きつける。強く押さえ付けることで止血を試みるもシャツはあっという間に真っ赤に染め上げられていく。自分の手が血で汚れることを厭わず彼の手をシャツの上から握りながら救急車を呼ばねばと思うも今の自分はスマホを持っていない。だが騒ぎを聞きつけた周辺の住民が110番通報と共に救急車を呼んでいてくれて。自分はパニック状態にあった為それに気付かず、健二は流石にまずいと思ったのが舌打ちするとその場から逃げようとして)
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