AB型 2019-08-08 01:31:39 |
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>>2653 駿さん
…ッ…駿さん…!
(彼が殴られた瞬間、全身の血液が沸騰したような気がした。彼目掛けて振り落とされるナイフに体は駆け出していた──彼にナイフの刃が届く前に割って入った一枚の皮膚を思いきり貫く。自分の左手が貫かれたままナイフをしっかり握り締める…これ以上進ませないとでも言うように。血が溢れ出し留まり切れなくなっては腕へ垂れ地面へポタポタ落ちて赤い染みを作り。ジリジリ焼けるような痛みが左手を襲ったが一切表情を変えず怯むことなく彼の首を掴む健二の手首を右手で掴みミシミシ音を立てさせる。射るような怒りで染まる瞳で健二を睨み付け「……お前が…駿さんを語るな…一度でも愛した人にこんなもの向けるな…ッ…力で押さえつけようとするな…ッ…!駿さんは…ッ…駿さんは…俺の唯一無二…飯山 駿は…俺の全てだ…!俺の…かけがえのない人だ…!」痛みで彼の首から手を離した健二へ抑え付けていた気持ちを爆発させて。彼の心も体も傷つけたことが許せない…ナイフの刺さったままの左手を後ろへと引きナイフを握ったままの健二の体は無条件に引き寄せられる。そこへ勢いのままに右手の拳で渾身の一撃を健二の頬へと繰り出して。ナイフから手は離れ健二の体は吹っ飛んでいく。倒れる健二に近づく間にも血はどんどん流れて地面に赤いラインを引いて。そんなことはお構いなしに痛みなど感じていないが如く自分は足を止めることなく健二の目の前まで来てその胸ぐらを掴み上げ「…人に殴られたの初めて…?めちゃくちゃ痛いだろ…?でも駿さんが心に感じた痛みはこんなもんじゃない…。駿さんは弱くない…弱い人がどうして考えるのを放棄しない…?あんたに歩み寄るのを止めなかった…?どれだけ辛くても…苦しくても…あんたと向き合うことを諦めなかった駿さんが弱いわけない…。あんた駿さんの何見てたんだ…?」正直もう一発くらい殴ってやりたかった。でも…それをしたらこいつと何ら変わりない。自分は健二を裁きたいわけじゃない。ただ彼の痛みを知って欲しかった。理解しろとは言わないしきっと言ってもこの男には伝わらない。彼にも弱い部分があったのかもしれない。でも…悩んでもがいて苦しんだ彼は強さもちゃんと持っている。それを知って欲しかった。掴んでいた胸ぐらから手を離しては抑え込んでいたもう一つの感情が涙が堰を切ったように溢れていく「……誰よりも近くにいたいのに…誰よりも遠くなっていく…触れたいのに…触れられない…抱き締めたいのに…抱き締められない…苦しくて…痛くて…すごく…寂しかった…ッ…でも…俺は…駿さんの傍に居たい…忘れられても…彼が安心して寄りかかれる居場所で在りたい…だから…ッ…駿さんを傷つけるあんたに…駿さんは渡さない…絶対に…ッ…」拭っても拭っても涙は止まってくれない。小さな子供みたいにしゃくり上げながらも目の前の健二を睨み付けて)
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