方言男子、いかがですか？

「そんなんあるわけないやん！俺は響のこと、誰よりも大好きなんやもん！……あ…」
勢い良く言ってしまった直後に、奈津は自分の言ったことに気づいて口を押さえた。

「んふふ、おおきに…」

響はくすくすと笑う。

「…なんか…ズルい…」
むすっとして奈津は響を見る。
「響はどうなん？」

「俺？大好きやで？」

「…ありがと…でもなんか…」
小さく言うと頬を染め、照れたように目を逸らす。

「愛してるで？」

響は笑う。

「なぁ、奈津先生さ。走んの遅ない？
俺と一緒にランニングせぇへん？」

「…ありがと」
照れつつ、奈津は言う。
「足の悪口言わんで！俺の可愛い足なんばい！…ランニング…走るのすかん……」

「ごめんなぁ」

「…でも、響がやりたいんならやろう」
にかっ、と笑って奈津は言う。

「ええの！？」

響は子供らしい表情に戻る。

「じゃあ、軽く走ってみよか」

「おっけー…でも俺遅いばい？響合わせれると？」
響の可愛らしい表情に微笑んで、奈津は言う。

「任せてぇや。俺陸上部やで？」

「おう、任せるばい！」

「ん。じゃあ、着いてきてやー」

響はゆっくり走り出す。

「りょーかい！」
笑顔で響のあとを追いかけて)

「いけるかー？」

「ん…なんとか！」
息を弾ませてこたえる。

「しんどいんやったらペース落とすで？」

響の息は切れることもなく、
手足は軽快に動いている。

「だいじょぶ…！…っちゅうか…ひびき…すごいやん！」

「そら、現役陸上部やもん」

響は笑う。