方言男子、いかがですか？

「……別に…」
ふと足を止め、呟いた。
「ペン、ありがとね。じゃあ」
響の持つペンに手を伸ばす。

「…俺、奈津先生に嫌われたくないねん」

「…なんで？俺に嫌われたって、他の人が響のこと好きやろ？」

「………俺が、嫌や。先生に嫌われたくない」

「…そーなん」
顔を逸らし、呟く。

「………俺の、何が悪いん？
言ってぇや…直すから」

「……俺が嫌やっただけやし…」

「……京と仲良くしとったんが？」

小さく頷く。
「…響が俺とおるのに、他のやつの名前出すけん…。…でも、こんなん言ったら束縛しとーみたいやん…」

「…んふふ。俺、束縛されんの好きやで？」

「……じゃあ、俺とおる時に他のやつの名前、出さんで…って言ってもいいん？」
奈津はそっと響を見て言う。

「ええよ」

響は笑う。

「！…じゃあ、俺とおる時は俺に構って…でもいいん？」
響の返事に驚き、再び質問を重ねる。

「んふふ、ええよ」

「ほ、ほんとに？…気持ち悪いとか思わんの？嫌いにならん？」
不安げに響を見つめる。

「何で嫌いになんねん」

「だって…前はそれで振られたから……」
俯いて呟く。
「もう同じようなこと、したくないやん…好きな人、困らしたくないんやもん…」

「んふふ、俺は困らへんよ」

「…ほんとに？…俺に愛想尽かすとかせん？」

「それは俺のセリフや」

響は笑う。