燭台切光忠 2017-03-18 23:04:23 |
通報 |
お前に言われると悪い気がしない。
(中々手櫛でも直らない寝癖を見兼ね何かを持ってくるそうで身動きせずそのままの体勢で待ち、整髪料を手に戻って来た彼を見据えふっと小さく笑い。然し、その整髪料が気になるのか「それは…?」と目で訴え掛けて)
これはワックスって言うんだ。これひとつで髪型もいろいろアレンジできるんだよ。
(持ってきた整髪料を机に置いていると不思議そうに眺め問いかけてきた彼に聞き慣れない横文字だろうが取り敢えず説明をして。説明だけでは分からないだろうと実際に手に付けると彼の髪を整え始めて)
…何か不思議な感じだな
(現代人の使う横文字はどれも聞き慣れぬものばかりで簡潔に説明をされるもあまりピンと来ず、直接髪に粘りのある液体を付けて整えて貰えば少し冷たさ感じるも、初めての感覚にどこか擽ったく)
はは、そうだろうね。…よし、恰好良くなった!
(暫くしてから髪を整え終えると、いつもと少し違う髪型に満足げに微笑んで。鏡に彼の姿を写せば「どう?いつもと違う長谷部くん。」と続け。それから暫くしてからインターホンの音がなれば五条が来たようで。行こうかと促すと玄関へと向かい)
――何か俺じゃないみたいだ。
(暫くしてじっと動かぬ事数分後、髪を整え終えたようで鏡で自身を写せば普段の髪型からころっと印象が変わり何だか可笑しく思えてぽつり。そして、髪をセットして貰った後にインターホンの音が鳴ると、彼の合図で椅子から立ちその後を付いて行き)
やあ、お待たせしたね。
(鍵を開けて玄関前に立っていた五条に挨拶をすれば靴を履き終え外に出て。後から続いて出てきた長谷部とともに3人で目的地であるショッピングモールへと向かいながら話をしていて)
五条)ははっ、こりゃ驚いた。かっこ良く決まってんな!
(挨拶を交わし玄関から出てきた長谷部へと視線を向けるといつもとは違うその姿に笑み浮かべ。それから徒歩でショッピングモールへと向かいながら「なぁ、普通に三人で買いものをするだけじゃ驚きが欠ける。そこでだ、長谷部のこの堅苦しい服を全部イメージチェンジさせるってのはどうだい?」と悪戯っぽく笑い提案して)
(漸く五条が揃った事で自宅を出て何処に行くかも自身はよく分からず、連れられるように二人の一歩後ろを歩きつついつもの事ながら唐突に提案する所はあの頃と変わらないなと心中で思えば「要は俺の服を変えるって事か。…男の服選びをして楽しいのか」と折角の約束にこんな事に費やして良いのかと上記を告げ)
もちろん、僕は賛成だよ。長谷部くんにはこの世界も好きになってもらいたいし
(長谷部の意見に首を降り、笑顔でそう言えばこの数十年、全く右も左も分からないような彼にも少しでも現代について知り楽しんでもらえたら構わないとそう言って)
五条)…だ、そうだ。決まりだな?それじゃあ長谷部イメチェン作戦開始だ!
(確かに普通なら男の服を選ぶなど考えもしない。が、相手がこの世界のことを知らないのなら話は別。長船の意見に同意のようで特に追求はせずにそう言って)
…お前達が良いのなら宜しく頼む、
(自身の為に約束の時間を割いてまで色々と考えてくれた事など身近に感じていて、胸の奥がじわりじわりと暖かくなる感覚を覚えては少し間を空け改まった言い方で言えば二人に感謝して。自身の格好の事で会話をしていれば目的の場所に到着し、初めて来たため大型ショッピングモールを物珍しく見ていて)
(ショッピングモール内へと進めば周りの人の目もあるためにあまり話せずにいて。途中で目に止まる服の並んだ店へと入っていけば最近のトレンドや季節に合わせた衣装などを眺めながら実際に彼に似合うかどうかも話していて)
(初めての場所なので目の前の歩く二人の後ろ姿を見失わない程度に周囲の人間達から認識されない為、キョロキョロと辺りを見て行きながら途中の洒落た洋服屋に入れば不用意に会話に介入出来ない故、遠い昔では有り得ない様な当店に並んでいる衣装の数々を眺め)
うん、これは似合ってる。大人っぽい長谷部くんにはピッタリだ
(あれでもないこれでもないと悩む五条にアドバイスをしながらも、不自然でないようにしながら彼に合わせていて)
五条)おっ、これはいいな。似合ってるぜ
(自身だけでは決めかねるのか悩んでいると隣で長船がアレンジをしてみたりと工夫をしていき。何とかふたりが納得するような衣装になれば本人はどう思っているのかと長谷部の方を見やり)
(目の前で二人が必死に自身の洋服選びをしている光景を見ながら時折服を合わせ何やら細かなアレンジや工夫を駆使すれば、納得がいくコーディネートが出来たらしく此方に集まる視線を受け。二人が選んでくれた洋服に目線を下に落とし、大人の落ち着いた色合いのもので「これなら色が落ち着いている上に、俺でも着れそうだ」と見た目の感想を言えば気に入った様子で)
よし、じゃあこれにしよっか
(彼も異論は無く、ニコリと笑み浮かべてはレジへと向かい代金などを支払っていて。彼も喜んでくれたみたいで、連れてきて良かったのかもしれないと思い)
五条)良かったなぁ、君。光坊とはいつ引っ付くつもりだい?前世からずっとこのままじゃないか。
(長船が会計を済ませる間、長谷部と共に店の外で待っていて。周りから独り言を言っているのかと不自然に思われないようにか、電話をしている素振りをしながら以前より気になっていたことも含めて言ってみて)
――っ、!…それは、分からない…。
(会計を済ませる間、二人で店の外で待機していると五条の口から思いがけぬ言葉が出てきて驚きに目を見開き。前世の時、彼に芽生えた感情は他のものと違う事に気づき始めからは周りの者に察されぬよう生活していたものの、妙に勘が鋭く進展の無い自身と彼の関係を見兼ねて言った発言だろうがいざ告白しようにも中々タイミングが見つからず伏し目がちに口を開き)
やあ、お待たせしたね。
(店員に見送られながらありがとうございますと礼を述べ店から出てきては店外で待っていた二人にそう言って。二人の間になにか微妙な空気を感じ取ったのか「どうかしたの?」と首を傾げ)
五条)…君なぁ、分からないとか甘えたようなことを言うんじゃない。分かってるのか?俺達人間はいつか死ぬ、君と違って…っああ、光坊。何でもないぜ。気にするな
(長谷部の何処か気弱な言葉が気になったのか、どこか棘さえ含むようなその声音で言い寄るものの、時間が来てしまい。笑みを浮かべ気にするなと手をひらりと降れば長谷部の方を見遣り「君とはいつかじっくりと話す必要があるな」と呟いて)
……。
(視線を下に落としたままどこか刺の含む声色で言い寄られ、五条の言い分は痛いほど身に染みて言い返す言葉が無い。自身は付喪神で彼は人間、いつか前主のように傍から消えて居なくなる事など頭で理解しているが、この恋が叶わないとどこか一線を越えられず中々前に進む事が出来ないのも事実。痛い所を突かれ此方に向けて呟いた言葉が耳に届けば、気弱で情けない自身に嫌気すら感じて唇を噛み締め)
でも、長谷部くん…あっ、疲れたのかな?それなら少し休もうよ、ね?
(気にするなと言われると気にしてしまうのが人というもの。何処か落ち込んだように見える長谷部の表情を見ているとチクリと胸が痛むような気がして。ここで気まずいまま立ち尽くすのもどうかと思い、話題を変えて)
五条)ああ、そうだな。こんなに人が多けりゃ疲れるのも頷ける
(感情に任せ少し言い過ぎたのだろうかと内心で反省して。どうしたものかといつもらしくすぐに案が思いつかずにいては頬を掻き。そうしているとこちらに気を使ったのか長船が休憩でもしようと提案してきて、助かったと内心で感謝を述べながら頷いて)
……済まない、
(俯いた状態で三人の間に気まずい空気が流れる中、自身と五条に気を遣ったように彼から休憩しようと言う提案にこのままの雰囲気でどこかに行ったとしても楽しめる気がせず。ゆっくりと顔を上げ少し間を空けると其方に視線向けて、元気の無さげな声色でただ謝罪の言葉を告げるしかなく)
(暫く黙り込んだまま休憩できる場所を探して。食事も兼ねて休憩しようと思えばカフェへと向かい。隅っこの方の席に座れば軽めの食事を注文し。食事が来る間にでもこの空気が穏やかになればいいけど、と思って)
五条)なあ、光坊。さっき言ってたあの事は…本当なのかい?
(ずっと黙り込んでいるのも自身の性にあわない。何か話題を、と考えていると先程買い物をしている時に長船がポツリと呟いたある言葉のことを詳しく聞こうと思ったようで口を開き)
トピック検索 |