山姥切国広 2016-12-29 11:35:55 |
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ああ、此方だ。…見えるか?(答えられた言葉に外へ出ると先へ歩き始める。ふと太刀と打刀の違いを思い出せば足を止め後ろを振り返り相手を伺いつつ声をかけ。
ううん、あんまり…あっ、こうしたらいいんじゃない?
(隻眼の上に、太刀となればやはりこの暗さは不利なようで。ぼんやりと見える姿と気配を追うようにしてついて行っていたが不意に前の彼が止まって。苦笑を浮かべその問に答えるとぱっと彼の手を繋ぎ「どう?これなら離れることもないし…かっこ悪いけどね」と続け)
ふ、……仕方がないな。(聞こえた答えにそのまま足を止め相手を待つも繋がれた手に一瞬目を見開き。暫くして小さな笑い声ひとつ落とせば応えるように触れられた手を握り返しては再び歩き出して)
ありがとう、助かるよ
(自身の提案を快く受け入れてくれた彼に感謝の意を示し礼をのべ。これなら音信だと歩き出した彼の歩調に合わせ自身も歩き出して)
太刀だと…本当に見えないんだな(相手の体がどこかにぶつからないようゆっくりと進みながら声をこぼして。わずかに振り返っては視線を合わせ)
うん、それに僕ってほら...隻眼だからさ、他の太刀よりも不利なんだ
(夜戦や暗いところが苦手な太刀の中でも一層劣るのは自分であり、こんなの格好つかないよなぁ。と苦笑を浮かべてはそう言って)
…そのハンデがある中で…他の刀と、同じように戦っているあんたは、…格好いいと思うぞ(わずかながらも弱気な発言に少し歩調を緩めると迷いながらも言葉を紡ぐ。言い切ると照れを隠すように布を深く引っ張り再び早く歩き出して)
へっ...?
(自身の弱音をまさか逆に取り、格好いいとは褒めらられるとは思ってもいなかったようで驚きから変な声をあげてしまい。その恥ずかしさと照れで視線を落としながらも「そんな、ありがとう」と礼を告げ)
…事実を述べただけだ、気にするな(落とされた視線のためか遠くなった声に首をかしげつつ相手を振り返る。垣間見えた表情に混じる照れた様子に僅かに口角上げながら答え)
うん、そうだよね
(いつまでも照れてうつむいていては、それこそ格好悪いだろうと顔を上げて。気にしなくて良いと告げられると頷き)
ん…ここが湯殿だ。置いてあるものは好きに使ってくれ(暫く歩くとふと足を止め相手の手を軽く引いてはとの前へ立たせる。中が見えるように開くと手短にものの位置を説明しては手を離し)
わぁ、大きいなあ。ありがとう、助かるよ
(暫く歩き、この本丸の大きさを再確認していると不意に立ち止まって。覗き込むように湯殿を見るとその大きさに目を瞬かせ「これなら大人数でも広いんだろうなぁ」と呟き。置いている物は使わせてもらおうと礼を述べて)
大人数で入ることはなかったが…まあ、そうだな。数人は入れるだろ。…あとは好きにしてくれ、俺は部屋に戻る(何気ない呟きを拾うと言葉を返し、他に質問はないかと相手伺いながらも湯殿から離れない視線に小さく笑み浮かべては後ろに下がり)
オッケー、それじゃあゆっくり入ろうかな
(今日は疲れも溜まっているし言葉に甘えることにしようと頷き微笑むと湯殿に入って行き。先に寝間着として着る黒の着物などを用意して)
(ゆっくりと入浴を済ませてはセットした髪も今は落ち着いていて。準備していた着物に腕を通し、ポカポカと心地よい気持ちで湯殿を出て)
えっと確か...こっちだったよね...
(先程共に歩いた道を頭の中で思い出しながら、壁に手を這わせ歩いていて。ふと、何かの気配に気付き目を凝らせばぼんやりとだが白い布が見え「あっ、たどり着いた...良かった」と安堵のため息を一つ吐き)
…ああ、そうか。見えないんだな(あちらこちらへふらふらと足を向ける姿に納得がいったのか声を漏らし手に持っていた本を机に戻すと迎えるために近づき)
あっ、わざわざごめんね。今度からは蝋燭持っていかなきゃね
(近付いてきた足音とその姿に迎えに来てくれたのかと思うとまたも苦笑を浮かべ、バツが悪そうにして。次からは彼の時間も割かないようにしなければとそう言って)
…気にしなくていい。夜は俺があんたの目になる(すいと白い手を相手の眼前へ差し出しながらさも当然かのように相手の力になると告げ、その手が取られることを待ち)
頼りになるよ、ありがとう
(差し出された手を握りながら、夜だけではなくいつでも頼りになるなと思い。夜は助けがなければ何も出来ないのと同然の自分を嫌悪するわけでもなく、こうして世話をしてくれる彼の器量の大きさに自分も見習わなければと「僕も山姥切君みたいに頼られる男にならなきゃね」と空いた手をグッと握ると笑みを浮かべ)
…?あんたは十分頼れると思うが(握られた手に小さく頷くと明かりのついた方へと歩き出す。呟かれた声と決意に強く握られた拳に不思議そうな表情を浮かべるとちらりと相手の顔を盗み見ながらも言葉を述べて)
ふふ、ありがとう
(共に歩いていると自身の呟きを拾い、頼りになっていると告げられると驚きからか目を瞬かせて。しかしこう言われるのは嫌な気でないと笑みを浮かべるとそう言って)
…思ったことを言っただけだ(誰かからのお礼の言葉に慣れていないのか、先ほどまでの会話とは違い僅かにぎこちなさを覗かせては首を振ってそれを遠ざける。そのまま明かりのついた厨へと戻れば覚めてしまったであろう茶にどうしたものかと手を伸ばし)
あれ、お茶…?もしかして、煎れてくれたの?
(厨に戻るとお茶が出されているのに気付き、きっと彼が準備してくれたのだろうと思い。なんだかそれは嬉しく、椅子に座れば冷めてしまったそれを気にすることなく飲み)
あっ…いや、そうだが、冷めてるだろ(伸ばされた腕に慌て湯呑みを取り上げようと手を伸ばすもそれは叶わずその手を下ろし。躊躇うことなく喉に流し込まれる茶に思わず小さなため息をついて)
ふふ、平気だよ。美味しいなぁ
(恐らく入れ直そうとしたのだろうが、そのような事はしなくていいと微笑み。こうして準備してくれていたことが嬉しいようで心も温まる気がして)
…おかしな刀だな…(すっかりと覚めてしまい間違えても美味しいことはないであろう茶を気にもとめず飲み始めた相手に何とも言えない表情をするも、もうひとつ淹れてあった湯呑みをぐいと煽り中身を開け)
気持ちを込めて入れてくれたかもしれないものを飲まないだなんてかっこ悪いし、失礼だと思ってるからね。
(何とも言えない表情でこちらを見るのを見てはクスリと笑みを浮かべ。人間くさいかな、なんて思ってみては「おかしな刀、かも知れないなぁ」と苦笑を浮かべ)
まあ、…おかしいとは言ったが、悪い気はしない(苦笑浮かべた相手に言いすぎたかと口を紡げば次に開くときには申し訳なさそうに首を振りわずかに笑みを浮かべて見せ)
はは、それなら良かったよ
(恐らく自身の表情を見て言ってくれたのだろうと思えば笑みを浮かべて。彼はどこまでも優しいのだろうと思えば「山姥切君は優しいね」と微笑み)
…優しくは…ない、少なくともあんたに言われるような刀じゃ(かけられた言葉に目を見開いて見せ初めて言われたとこぼせばそれを否定するように首を振る。言葉を紡ぐうち思いつめ始めたのか声は次第に暗くなり視線も徐々に下へと下りはじめ)
…どうかしたの?
(彼の言動を見て、どうかしたのだろうかと思えば顔を覗き込み。彼は優しい、それはまだ少ない時間共にいるが分かるところもあって)
…いや、なんでもない(かけられた声にはっとしたように顔を上げる。交わった視線に小さく息を吐き出せば先ほどの全てを誤魔化すように声色を変えてみせ)
そっか、なら良かった
(何でもないと言われると、ここでしつこく聞いてはいけないだろうと頷いて。彼はまだ、自身に言えないことも多いのだろうと思い)
ああ、…あんたが今日寝るところを考えないといけないな(追求されなかったことに僅かな安堵の息を漏らしからになった湯飲みを重ねて持ち上げ相手へと背を向けながら考えを言葉に出して)
確かにそうだね。あ、でもさっき教えてくれた部屋でも大丈夫だよ?
(壁にかけられていた時計に目をやれば、そろそろ寝る時間なのかと思い。部屋なら今日の昼に教えてくれた場所でも気にしないと笑みを見せ)
ああ…、あそこが一番きれいか。そうすると良い、他に足りないものがあれば俺は…まぁ、ここの何処かには居る(先程までのことで忘れていたのかはっとした表情浮かべれば暫し考えた後に答え、湯呑みを洗い終えると振り向いては頷き)
うん、ありがとう。そうさせてもらうね
(もとよりあの部屋を使わせてもらえるだけでもありがたい、それに彼の協力もあり綺麗になった。その旨を告げてはあまり夜更かししてもいけないだろうと就寝の挨拶をしては部屋を出て)
…あぁ、おやすみ。(夜目のきかないことを忘れ部屋の場所はもうわかるだろうと相手を追いかけることはせず、いつも通り一人になった部屋にため息をひとつ零すと風にあたるため外へと足を向ける)
痛っ!?
(夜目の利かない自分一人ではふらふらと覚束無い足で歩いていると、どこかに頭をぶつけたらしく突然襲ってきた痛みにしゃがみ込んで。ある意味で夜で良かったなと恰好の悪さが知られずに済んだと思って。ぶつけた箇所を手で擦りながら立ち上がり)
、…忘れていた。…(響いた声に思わず顔あげると一人歩かせてしまったことに眉を寄せ相手の方へと歩く。太刀の彼からは見えていないであろうまま背後より近付き、しゃがみこむ相手を支えようと腕を伸ばして)
うわぁっ?!
(痛む額を抑え立ち上がろうとしたその時、背後から音も無く、ぬっと伸びてきた腕にびっくりしてまた声を上げてしまい。しかしそれは幽霊などの類ではなく、先程まで共にいたはずの山姥切国広。「あ…山姥切くんか。良かった」と心底から安堵したようにため息をついて)
…ふ、…はは、…すまない、驚かせたか(伸ばした腕が振れる前に響いた叫び声にびくりと肩を跳ねさせる。格好よさを求め常に格好の整ったいつもとは打って変わって慌てたような表情を浮かべる相手になんとは無しに笑い声を漏らし腕を絡めてぐいと引き上げ)
あっ、笑わないでよ!…全くこれじゃあ格好がつかないなぁ。恥ずかしいだろ
(腕を絡め引き上げられると羞恥からか頬を赤らめて。なんだか今日は格好がつかない日だと思いながらも助けてもらったことには感謝しており「でも、ありがとう。助かったよ。それに、笑った顔も見れたしね」と微笑み)
すまない、悪気はない…大丈夫か(何とか笑い納めるとその余韻隠すように襤褸引き下げ怪我はないかと相手の体に触れ。続けられた言葉に笑ったことは忘れてくれと少し拗ねたように伝え)
うん、平気だよ。それにしても不覚だ、今度からは気を付けないと
(悪気がないことはこちらも承知している。怪我がないかを確認されると笑みを浮かべ上記を述べて。忘れろと言われてもきっと覚えているだろうと内心で思いながら今度からは蝋燭でも持ち歩かなければと思って)
とりあえず、今日は部屋まで連れて行く(触れた感触と声に怪我がないことを確認すると安堵の息を漏らし。明日からのことは後で考えれば良いだろうと考え込みながら無意識に相手へ向かい手を伸ばし)
うん、ありがとう。助かるよ
(今日は部屋まで連れていってくれるらしく、助かったと礼を述べると差し伸べられた手を握り。それから自分の部屋へと歩き出して)
ん、…部屋のもので要りようなものがあればまた教えてくれ。(そのまま手を握り返し部屋へと歩きつつ未だ暮らしにくいであろう質素な内装を思い浮かべると相手へ振り返り)
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