土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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思えば今回の事件では、ことごとく敵に裏をかかれ続けてきた。2号機の強奪と逃走。暗礁宙域捜索。観艦式への奇襲。そしてコロニーへの進路。
----常に機先を制され続けてきた。が、今となってはどうにもならん。コロニーが地球に落着した後、敵を殲滅して、それが勝利と言えるだろうか。
もしかしたら2号機を奪われた段階で、我々の敗北は確定していたのだろうか。ふと、そんなことを考えた。
「いや、違う!」
言葉が口を吐(つ)いて出た。艦橋に居合わせた誰もが、シナプスに視線を向ける。だが、すぐにまた元の作業に戻った。
----敗北は確定していない。まだだ。少なくとも、コロニーが阻止限界点を越えるまでは、心中で呟きながら、ラビアンローズでナカト少佐が口にした言葉を思い返す。
「正義の軍隊気取りは、やめて頂きたい」
ならば、我々に悪しき軍隊にでもなれと言うのか。惨禍が人々の頭上にのしかかろうといる時に、それを無視しろとでも言うのか。
----正義の軍隊か。それも良かろう。どのみちなすべきことは一つだ。いかに多くの人命を救えるか。ただそれだけだ。
OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』小説 下巻 第13章 阻止限界点 本文 エイパー・シナプス ナカッハ・ナカト より
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