土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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ガトーは肩部の可動式スラスターを下方に向けて全開。急速上昇をかける。そして一息でコンペイ島の上方に駆け登った。
ポイント0。
眼下に、無数の光点が浮かぶ。コンペイ島湾内にあふれる連邦軍の艦艇だ。ガトーは、集結した全艦艇を一望している。
無言でバズーカを構えた。アトミックバズーカ。これこそがガンダム2号機、すなわちGP02Aの、末尾のAの文字の所以(ゆえん)である。そしてこの機体を、連邦軍がAAA(トリプルエー)の最上位機密ランクで包み隠していた理由でもある。
最終セイフティ解除。
艦隊の中心点を探す。あった。立方格子状に連なる艦隊。その中心の艦に照星を重ねる。ガトー自気付いていなかったが、その艦は、まぎれもなく観閲旗艦バーミンガムそのものだった。
白い船体に幾重にもゲージが重なる。その度に、コクピット内に電子音が鳴り響いた。ロックオンの表示がモニターに現れた。
画竜点睛(がりょうてんせい)、一点の曇り無し。
ガトーは叫んだ。下方の艦隊を見おろし、力の限り叫んだ。
「再びジオンの理想を掲げるために、星の屑成就のために、ソロモンよ、私は帰って来た!」
バズーカの砲口から光が迸った。
光は閃光の矢となり、コンペイ島湾内に突き進む。
Mk.82、レーザー核融合弾。
その眠りし力が解放されたのだ。
OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』小説 下巻 第10章 ソロモンの悪夢 本文 アナベル・ガトー より
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