土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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「ジグソーパズルのピースは揃ったけど、同一平面上に収まらない気がする。何かが足りない。でもそれだけじゃなくて、何か過剰な気がするんだよね」
島津は白鳥を見て、言う。
「何となくわかるな。高階先生が射撃の名人でなければならないという条件みたいに、ステップを忠実に積み上げていけば一目でわかるはずだが、ピースが撒き散らかされているから絵柄がわからないわけだな。そもそもジグソーパズルってヤツは一組かどうかさえよくわからないもんな」
白鳥が、ぴくりと顔を上げる。
「今、何て言ったの、島先生?」
「だから、一組のジグソーパズルさえわからないって……」
白鳥は人さし指を突きつけて、黙って、と指図した。そしてぶつぶつ呟き始める。
「つまり、二組のジグソーパズルが交じり合い」、一組分しか残されてなかったら絵柄は絶対にわからない。だけどその時は二組のジグソーを解けば……」
白鳥がじっと考え込み、やがてぽつりと言った。
「そろそろ画像転送プログラムが終了する頃だな。それじゃ解析室に戻ろうかな」
どうやら壁の掛け時計が目に入ったらしい。
海堂尊『アリアドネの弾丸』27章 停滞 白鳥圭輔 島津梧郎 より
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