土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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彼の逡巡を見てとったハルバートンが、口をひらいた。
「君がなにを悩むかはわかる。……たしかに魅力だ。君の力は。軍にとってはな」
キラは彼の意図を読み取ろうと、その表情をさぐった。だがハルバートンには、言葉と裏腹にものほしそうな様子はまったくうかがえなかった。彼は笑って言う。
「だが、君がいれば勝てるというものではない。戦争はそんな甘いものではな。……自惚れるな」
「で、でも……『できるだけの力があるなら、できることをしろ』と!」
かつてムウに言われた言葉を口にすると、ハルバートンはちょっと口の端を上げた。
「その遺志があるならだ-----」
キラは言葉をのんだ。
「遺志のないものに、何もやりぬくことはできんよ」
そう言った男の目には、たしかに強固な遺志の存在をうかがわせる光があった。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』小説 キラ・ヤマト ハルバートン提督 より
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