患者の創傷処置を終えると、昼食前だ。包交車を戻し、汚れガーゼを汚物入れに捨てる。要は看護師の代行だが、屈辱ではない。大学病院ではよくさせられていたものだ。こうしてみると大学病院にもいい点はある。 大学病院は医師の無用なプライドを、波が貝殻を砕くように砕き続ける組織だった。 海堂尊『極北クレイマー』七章 放縦の代償 本文より