主 2014-07-24 22:20:32 |
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>九尾
(朦朧とする意識の中、思い浮かぶのはただ一人の人物。煩いくらい必死になって己に声を掛けるさまに、そんなに慌てなくても逃げたりしねぇよ、と呆れた様に口を開くが声は息としか出ず音にならなくて。何かがおかしい。此処だけ時間が遅れているように動き、身体は熱に包み込まれまるで夢の中にいるような感覚。ふと頬に伝うひんやりとした冷たい感覚に、ピクリと指先が動けばゆっくりと瞼を開き。紫色の瞳に映ったのは、今にも泣き出してしまいそうな彼で。何、らしくねぇ顔してやがんだ…。そう思うと同時に、先程の記憶が一気に蘇り。そうか…俺、倒れて…。今自分がおかれている状況を把握すれば、それこそ史上最悪なものはなく。こんな自分の情けない姿を一番見られたくない相手に見られた上に泣きそうになるまで迷惑を掛けている。いや、今はとにかく己は大丈夫だから心配するなということを彼に伝えることが最優先だ。まだ熱さ残る火照った身体をゆっくり起こし、今度はしっかり声を出す思いで口を開く…が──)
……、っるせぇんだよ。どっか行け。
(何言ってんだよ、俺。違う。こんな事を言いたいんじゃない。振り絞って出した声は、思った以上に冷たいもので。未だ身体が怠く壁に凭れるように背を預ければ表情を悟られぬよう、頭に被ったバスタオルを更に深く被り。これが自分なりの精一杯の強がりだった。真っ直ぐにぶつかってきてくれる相手と一切目を合わせることが出来ないのは、所詮ただの逃げでしかなくて。)
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