柊 2014-06-16 01:29:42 |
通報 |
>物乃芽
(髪に指を絡め優しく微笑む表情から一変、厳しい口調に戻った物乃芽に「心配しすぎですよ」と小さく呟く。軽々と抱き上げられた自身の身体も、何回も繰り返し行われているうちに大分慣れたものだった。静かに横になりながらも、置かれた着替えにゆっくりと手をつける。汗でじめりとしていた着物から変わり、風通しの良い、先ほどと少々違うその生地は柊の身体によく馴染んだ。それから再び横になると、先ほど平気とみられていた身体がほんのり熱くなってくる。
「ちょっと上がってきましたか」と内心思いながらも、しかしそうそう見られる変化もない。物乃芽の作った薬を飲めば直ぐにでもよくなるだろうと、それは彼が草花に詳しい春の季節だからこそ安心できるものだった。プラスして愛しい人が思いを込めて作ったのだろう、それを柊も十分に理解しており、熱はあるものの心はすっかり元気のようで)
(そして同時に思うことが一つ。あのような夢を見たあとだから余計にだろうか、今夜一人で眠ることを考えると、どうにも安心して眠りにつくことはできないような気がしていた。それは薬云々には関わらず、どうしても夜というのは熱の上がるもの。そのような状況で、果たして自分は一人で居れるだろうかと、そう考えたときに。一緒に彼が寝てくれたらと、しかしそれでは移ってしまうかもしれない。そのようなことを考えながら、薬を待つ間にも眠気は次第にやってきて――――)
トピック検索 |