柊 2014-06-16 01:29:42 |
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>柊
……そこに居ろ
(戸口に入り相手に呼びかけられるが其れに応えることなく傘を立てかけ相手を座らせると直ぐ近くの戸棚から子猫や柊の身体を拭くように数枚の布切れを取り出し半ば押し付けるように渡せば自分は勝手場に向かって
……ああもう、ほんとガキじゃないか
(勝手場でタライにお湯を用意しながら溢れ出てくる感情を必死で抑えては項垂れて。恐らく逆の立場であれば間違いなく己も同じ事をした。だから相手の軽率な行為を責めることは出来ないし感謝しても良いくらいなのだが…。相手を失い独りになることを想像した弱い己を認めたくなかっただけ…また散々相手に説経じみたことを偉そうに言ってきたが全く人のことは言えないと不甲斐なく感じていて。今回は所謂八つ当たり—
…傷、見せてみろ。手当て、するから
(戻ってみると子猫はすっかり相手に懐いた様子で丁度相手にすり寄っているところで。それを横目に相手と向き合う形で屈むとお湯の入ったタライを床に置き布を浸して、白く細い足についた掠り傷や泥を洗い流すように拭いてやり。その水音と水に濡れた子猫の匂いがやけに明瞭に感じるが相手の顔は見ることが出来ず、
(もう一度布をお湯に浸すとタライの中に相手の足が入れられるよう移動させ、己は背中の傷の具合を見るため相手の背後に回って。少々抵抗はあったが治療のためだと背中の部分が見えるように少しだけ着物を脱がせると僅かに赤黒く変色した傷が露わになり、奥歯を噛み締めて。なるべく痛まぬよう優しく傷口の汚れを落としてやるが、その沈黙と意地汚い己に耐えられなりそのまま背後から相手を包み込むようにそっと抱き寄せて
…柊、ごめんな。……ありがとう
(震えを抑えた掠れ声で言うと抱き締める腕に力を込めて
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