□□ 2025-12-30 22:14:59 |
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( 箸を取り返そうと伸ばした手は、あっさり避けられて空を切る。仕方なく手を引っ込めて、観念したように小さく溜息。大人しく次の一口を待つかと楓の手元を眺めていたが――「バイト休もうかな」なんて声が聞こえた瞬間、眉がきゅっと寄る。……いやいやいや。成人済み男の看病のためにバイト休むとか、普通に考えておかしいだろ。熱も微妙に下がってきてるし。そう言い返すつもりだったのに。「ひとりにしたくない」なんて不安そうな声音が、熱の残る頭にやけに直接響いてきて、言葉が喉の奥で止まった。困ったみたいに視線を逸らし、唇を軽く噛んでから )
いや、迷惑かけんなよ、バイト先に。
( という、一応、形だけの抵抗。続けて何か言おうとして、結局何も出てこなくて。諦め半分に )
……けど、まあ……いるって言うなら勝手にしろ。
お前がいたほうが……そりゃ正直、楽ではあるし。
( 素っ気ない言い方のくせに、拒まない。むしろほんの少しだけ肩の力が抜けて、安心したように目を伏せる。それから楓の持つ箸と、その先のうどんにちらと視線をやってから、わざとらしく小さく口を開け )
おい、早く食わせろ。のびる。
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