匿名さん 2025-09-07 22:09:43 |
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(差し出したトーストを頬張り、まるで子供のように目を輝かせる彼に、思わず声に出して笑ってしまう。その表情を見ているだけでこちらまで満たされるようだった。自分が選んだ料理で、彼がこんなにも喜んでくれるというのなら、自分には十分すぎるほどの幸福だった。そして、自分もトーストをかじろうとした時だった。目の前にフォークに巻き付いているナポリタンが出された。一瞬、何を意味しているのか分からなくなる。しかし彼の言葉と表情を咀嚼するように理解すると、目を見開く)
ナポリタンは好きですが……いいんですか?
(尋ねてから愚問だと気付いた。彼は自分にすっかり心を許してくれている。だから聞くまでもないのだ。だが彼の行いを何の躊躇いもなく受け入れるには、まだ段階が必要だと考えてしまう。彼はこんなにも自分に懐いてくれているのに。自分という人間の情けなさに半ば呆れながらも、差し出されたフォークをいつまでも凝視している訳にもいかず、パクっとナポリタンを一口で含む。ここ暫く味わっていなかったため、想像の彼方にあった味が、一瞬で戻ってきた。ああ、こんな味だったなと、口の中に広がる旨味を舌で存分に感じながら思い出す。頭の中が味のことでいっぱいなのは、きっとあまり考えたくないから。ただでさえ恥ずかしいから。きっと今、自分の顔は紅潮している。もっと意識すれば、もっと紅潮してしまう。だからせめて味のことだけを考えて、意識しないようにしているからだった)
うん……いつ来てもここのナポリタンは美味しい。き、君が食べさせてくれたから、もっと美味しく感じている……かもですけどね。
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