愛の報いは愛(〆)

愛の報いは愛(〆)

匿名さん  2025-09-07 22:09:43 
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お相手様決定済み。

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  • No.206 by 常葉 悠  2026-02-24 20:16:24 

(差し出したトーストを頬張り、まるで子供のように目を輝かせる彼に、思わず声に出して笑ってしまう。その表情を見ているだけでこちらまで満たされるようだった。自分が選んだ料理で、彼がこんなにも喜んでくれるというのなら、自分には十分すぎるほどの幸福だった。そして、自分もトーストをかじろうとした時だった。目の前にフォークに巻き付いているナポリタンが出された。一瞬、何を意味しているのか分からなくなる。しかし彼の言葉と表情を咀嚼するように理解すると、目を見開く)

ナポリタンは好きですが……いいんですか?

(尋ねてから愚問だと気付いた。彼は自分にすっかり心を許してくれている。だから聞くまでもないのだ。だが彼の行いを何の躊躇いもなく受け入れるには、まだ段階が必要だと考えてしまう。彼はこんなにも自分に懐いてくれているのに。自分という人間の情けなさに半ば呆れながらも、差し出されたフォークをいつまでも凝視している訳にもいかず、パクっとナポリタンを一口で含む。ここ暫く味わっていなかったため、想像の彼方にあった味が、一瞬で戻ってきた。ああ、こんな味だったなと、口の中に広がる旨味を舌で存分に感じながら思い出す。頭の中が味のことでいっぱいなのは、きっとあまり考えたくないから。ただでさえ恥ずかしいから。きっと今、自分の顔は紅潮している。もっと意識すれば、もっと紅潮してしまう。だからせめて味のことだけを考えて、意識しないようにしているからだった)

うん……いつ来てもここのナポリタンは美味しい。き、君が食べさせてくれたから、もっと美味しく感じている……かもですけどね。

  • No.207 by 宮村 湊  2026-02-26 23:21:08 

……狡いなぁ。

(相手にして貰ったように自らも、と考えての行動だったものの、自分の手からナポリタンを口にした相手のほんのり赤みを帯びた頬と告げられた言葉に、思わずといった様子で彼には聞こえない程度の声でぽつりと小さく呟く。薄々勘付いていた、相手も自分を好いていてくれているのではないかという疑念は疾うに確信へと変わっていた。元来ターゲットを具に観察し、耳障りの良い言葉を並べて落とすことを職業としているのだ。彼に対して偽ったり飾るのをやめたとは言え、彼が自分をどう思っているのかについて察しがつかないほど鈍くも無く、それ故に自ずと湧き上がってくる幸福への対処に困ったように目尻を下げる。彼に対してならば一方的な思いであっても構わないとさえ思っていたのに、これでは手放せなくなってしまう)

だから悠さんが俺に食べさせてくれたトーストもとびきり美味しかったんですね。

(お返しだとばかりにさらりとそう言って退けると、再びナポリタンを口に運び幸せそうに頬を緩める。こんなに幸せだと後から反動が来そうで少しだけ怖くなる。それでも今は、今この時だけでもこの幸福に浸っていたくて、現実からは目を逸らし続けていた。ナポリタンを食べ終えると、ちょうど良いタイミングでモンブランが運ばれてきた。彼が堪らなく好きだと称したそのモンブランをフォークで一口分掬い上げるとそっと口に運び、ケチャップの塩気が残っていた口内へと一気に広がる栗の控えめな甘さに舌鼓を打つ)

ん~……!美味しい……!

  • No.208 by 常葉 悠  2026-02-28 10:56:35 

(まるでお返しと言わんばかりの彼の一言に、胸が高鳴る。やはり言い慣れぬことを言うものではない。予想もしていなかったカウンターに、鼓動がうるさいくらいに響く。店内では様々な音が鳴っている。フォークやスプーンが皿に当たる音、コップに水が注がれる音、店内に静かに響くジャズ。先程まで聞こえていたそんな音は、今や鼓動に遮られて何も聞こえなくなった。柄にもないことを口走った羞恥と、彼の一言のせいで鼓動が鳴り止まない。そして、ふと気付く。これが人を好きになるという感覚なのか、と。これまで心から人を好きになったことがなかった。一瞬の時を過ごした恋人もいたが、このような感覚にはならなかった。恋とか、好きとか、そんなものは自分には知覚できないものだと思っていた。だが今日、ようやく自分は知覚できたのだ)

……美味しいでしょう? ここのモンブランを食べたら、もう他の所では食べられませんよ。

(食事に集中していると何とかうるさい鼓動が静かになってくれた。そのタイミングでモンブランが運ばれてくる。一口運ぶと、いつもと同じ味がした。自分にとっては慣れ親しんだ味だ。ふと彼を見ると、初めて食べたこの店の味が気に入ったようで、とても緩んだ表情をしていた。あまりにも幸せそうな表情に小さく笑うと、上記を言う。自分がすすめたものをこんなにも喜んでもらえる。これまでの交友関係で小さく空いた無数の穴が、彼のおかげで塞がっていく。この幸福が永遠に続けばいいのに──そう思わずにはいられなかった。一頻りモンブランを楽しみ、時計を窺うと、あと数分で16:00になる頃だった。次の場所へ向かう時間的には丁度いいが、早すぎる時間の流れにため息を零してしまう)

そろそろ行きましょうか。最後の場所が、もうすぐ開きますから。

  • No.209 by 宮村 湊  2026-02-28 12:37:14 

じゃあ、モンブランが食べたくなったらまた一緒にここに来ましょうね。

(繊細な味わいのモンブランはアイスティーとも非常に相性が良く、交互に口に運びながら思わず感嘆の息が零れる。甘味が好きという彼のオススメだけあって、確かに今まで食べてきたモンブランとは一線を画しているそれを口へと運びながら徒にそんな約束を取り付けては、少し勿体なさを感じつつ最後の一口を口へと運び入れた。最後はアイスティーでさっぱりと締めて満腹感に小さく息を吐いていると、ほぼ同タイミングで食事を終えた彼から示される次の目的地に思いを馳せつつ静かに一度頷き立ち上がる)

最後の目的地は夜から開く場所なんですね。どこなんだろう、楽しみだなあ。

(おもむろに腕時計に視線を落とせば、ゆっくり昼食を食べていたこともあって既に夕方に差し掛かっていて、次が最後の目的地だということがほんの少し寂しくも感じられてしまう。彼の連れて行ってくれる場所はどこも素敵で、そしてやはり自分よりもほんの少し大人びたチョイスで、最後はどのような場所に連れて行ってくれるのだろうかという期待も胸中には抱きつつ、しかしそれが相手へのプレッシャーにならないように気をつけながら会計を済ませて店を出ると、行き先を彼に委ねるように店の前で立ち止まった)

  • No.210 by 常葉 悠  2026-03-03 19:27:18 

ふふ。少し戻ります。でもすぐそこですよ。君もよく知っているところ。

(会計を済ませて店を後にすると、店の前で立ち止まっている彼に行先のヒントを出す。別に勿体ぶる程の場所でもないのだが、意味ありげに振舞ってみたくなったのだ。カフェに来た道を戻りながら、数分歩くと目的の場所に着いた。それは彼と初めて会ったダーツバーだった。店のドアにはOPENの看板が掲げられている。勝手知ったる店で、もう何度もここに来ているが、彼と出会ってから自分にとってここは忘れられない思い出の店となった。ドアを開け、カウンター席に座る)

最後の場所は悩みましたが……この店が良いと思いまして。二人が初めて会った場所ですしね。慣れ親しんだ店の方が落ち着いて話もできますからね。

(机の上に置かれている酒のメニュー表を見ながら言葉を続ける。そうだ。散々通った店の方が、自分の想いも告げられる。だが決して酒の勢いで言おうとしている訳では無い。酒が回る前に全て話してしまうつもりだ。ただ、彼と初めて会った場所で、時間を共有したい。それだけの事だった。メニュー表をしばらく見つめると、銘柄が決まったので横にいる彼の方へメニュー表を寄せる)

私はコロナビールをいただきます。湊くんは何にしますか?

  • No.211 by 宮村 湊  2026-03-04 20:58:19 

え、……

(彼の後に続いて歩いていると自分の疑問に対して答えるように投げ掛けられた言葉に思わず瞳を数度瞬かせた。この辺りで自分と相手が知っている場所となれば自ずと答えは確定したようなものだったが、実際あのドアを前にすると初めて彼と出会った日のことが昨日のことのように鮮明に思い出される。あの日はいつも通り"仕事"のつもりでここに立っていた。求められる自分の像を演じて、情報を引き出す───ただそれだけの相手のはずだったのに。相手に続いてドアを潜り彼の隣の席に腰掛けると、この場所を選んだ相手の思いを耳にして口元に薄く笑みを引く)

そうですね。俺と悠さんの思い出の場所ですから。…ここが'1番好きな場所"なんですね。

(どのような場所に連れて行って欲しいかと問われ、自分が彼に課したテーマ。それに沿う場所がここだと明確に示してくれた相手の想いが嬉しくて、自然と緩んでしまう表情を抑えることももうしなかった。かつて初めてここを訪れた自分では想像もつかないほどに今の自分は幸福に満ちていて、それと同じくらい眼前の彼を愛しいと思う気持ちで満ちていた)

じゃあ、コロナビールとジントニックを一つずつお願いします。……あ、そうだ、悠さん、これ。

(メニュー表から視線を上げオーダーを通すと、1日気を配りながら持ち歩いていた紙袋を相手へと手渡す。中には試行錯誤を繰り返し漸く完成したマカロンが丁寧にラッピングされた状態で鎮座している)

以前お願いされていたマカロンです。結構上手く焼けたと思うので悠さんのお口に合うと良いんですが……。良かったら後で召し上がってください。クーラーボックスの中に保冷剤を入れて持ってきたのである程度冷えていたとは思うんですが、一日持ち歩いちゃったので……大丈夫かな。

  • No.212 by 常葉 悠  2026-03-08 14:56:58 

(一番好きな場所と言った彼の言葉に大きく頷く。最初に彼にこの課題を出された時は、酷く悩んだものだ。しかし冷静になって見ると、実にシンプルな課題だったことに気付く。最初から答えなど決まりきっていたのだ。彼と初めて出会ったこの場所以外にないのだから)

ああ、マカロン……! いや、わざわざありがとうございます。早速一ついただきますね。

(注文をしてくれた彼から紙袋を差し出される。反射的に受け取り、それが以前に自分が頼んだマカロンだと気付いたのは、彼の説明を聞いてからだった。紙袋からラッピングされたマカロンを取り出し、丁寧にラッピングを解いていく。一片たりとも傷が付かないように、慎重に。彼は一日中持ち歩いていたことを気にしていたが、自分にとってはたとえ悪くなっていたとしても口に入れるだけの価値があるものだ。他の誰でもない彼が、自分のために作ってくれたマカロンなのだから。マカロンを一つ掴むと、そのまま口へ運ぶ。サクッとした食感の次に、口の中に濃厚な甘みが広がる。これまで食べたどのマカロンよりも、濃厚な甘みが。)

湊くん、これはとっっても美味しいですね!こんなに濃厚なマカロン、初めて食べました! 君はお菓子作りの天才ですね!

  • No.213 by 宮村 湊  2026-03-10 12:48:46 

あ、……

(渡してしまってから、せめて中身を確認してから渡した方が良かったのではないかと焦りを覚えるものの時既に遅く、その場でラッピングを解きはじめた相手を見つめて思わず硬直してしまう。取り出されたマカロンは、パッと見大きな崩壊をしているようには見えず、緊張の糸が一瞬だけ緩んだかのように小さく吐息が漏れる。彼の口へと運ばれていくマカロンを再びはらはらとした緊迫感のある面持ちでじっと見詰めていたものの、その口から次に紡がれたのは肯定的な言葉で、思わずホッとしたような安堵感に満ちた表情が顔いっぱいに浮かんだ。なかなか自信を持って相手に渡せるものが完成せず、何度も何度も焼き直したマカロン。ほんの少し抜けてるくらいが歳上に取っては可愛らしいと思って貰えることも知っているのに、今回ばかりは完璧なものを作って渡したいと躍起になってしまった。それが何より計算ではなく、ありのままの自分を受け入れてくれる彼に対して抱いた恋情であることを証明しているかのようで、思わず口端を緩めながら幸せそうに瞳を細める)

……良かった。悠さんにはどうしても納得のいくものをお渡ししたくて少しお時間を頂いてしまいましたが……頑張って良かったです。喜んで貰えて本当に良かった。

(ぽつり、ぽつりと。胸の内から湧いてくる本心をそのままに口に出して行くことには未だ慣れないものの、彼の前では嘘偽りを述べる必要がないことが何よりも嬉しくて。いつになく柔らかな表情を浮かべて言葉を紡ぐと、漸く肩の力が抜けたように軽く肩を落としてみせた)

  • No.214 by 常葉 悠  2026-03-12 22:30:55 

ふふ……君の作ったものです。私が気に入らない訳ないでしょう。さて、残りはゆっくり家に帰ってから食べますね。

(マカロンを飲み込むと、彼の言葉に笑いながら丁寧にラッピングを戻す。後は自分のお気に入りのコーヒーを飲みながら、ゆっくりと楽しむことにする。自分は存外に独占欲が強いらしい。バーテンダーがいつもとは違う自分のテンションに、こちらに視線を遣った際、彼の作ったマカロンに視線が移った。その刹那、自分の胸中には、形容し難い程の情念が宿った。取られたくない──そう思ってしまったのだ。別にバーテンダーはマカロンを狙っていたわけではないが、他人に視線を向けられることすら、今の自分にとっては警戒するべき案件なのだ。マカロンを仕舞うと、そのタイミングで先程注文した酒が目の前に置かれる。二人同時に出してくれたのはバーテンダーの気遣いだろうか)

それでは、今日は付き合ってくれてありがとうございました。ふふ、乾杯しましょう。

(そう言うとグラスを彼の持っている高さよりも下にしてグラスをカチンと合わせる。空中に響くような明瞭な音と共に、コロナビールを口に含む。久しぶりのアルコールに身体が狂喜しているのか伝わる。最後に飲んだのは彼とイタリアンレストランに行った時だ。あの日から一滴も飲んでいない。コロナビールを何度か流し込むと、彼の方へ身体を向ける)

今日のプラン、どうでしたか。君のように上手くは組めなかったかもしれませんが……私はああいう場所が好きなのです。分かって貰えましたか? 私の事。

  • No.215 by 宮村 湊  2026-03-13 20:27:02 

こちらこそ、素敵な一日をありがとうございました。乾杯。

(ラッピングを戻すその所作すらも非常に丁寧で、言葉だけでなく相手が真にそれを大切なものと受け取ってくれていることが伝わってくるようで、思わず口元が緩む。ちょうどその時、タイミング良くバーテンダーから提供されたジントニックを軽く掲げ、自らもそのグラスへと口をつけた。爽やかなライムの風味が口いっぱいに広がるのを楽しんでいると、改まってこちらへと向けられた体と問いかけに対して反応するようにグラスを唇から離してこちらも相手の方へと体を向け、1度しっかりと頷いてみせた)

悠さんはお忙しいのに、デートプランを考えてもらうなんてって思ったりもしたんですけど……でも、どうしてもあなたが好きだと思うものを知りたくて。ビリヤード場も喫茶店も、どちらも凄く雰囲気の良い場所で、好きなものを心の底から愉しむ悠さんと一緒に同じものを隣で愉しむことができて───本当に幸せでした。俺のわがまま、叶えて下さってありがとうございました。

(今日一日のデートプランを、きっと頭を悩ませながら、忙しい日々の隙間で組んでくれたのだろう相手に最大限の感謝を込めて。彼の好きな物を辿ることで、また新しく彼のことを知ることができたような気がして、嬉しさを隠すこともせず素直な笑顔のまま対峙する。あの日、ここで彼と出会えたことが、自分の人生で唯一にして最大の幸福だったのだろう、と噛み締めるように感じながら謝意を込めて彼に対して頭を下げた)

  • No.216 by 常葉 悠  2026-03-18 23:11:03 

幸せだなんて、随分と嬉しいことを言ってくれるんですね。ふふ、私も同じ気持ちですよ。君といると本当に楽しい。またわがままを思い付いたら言ってくださいね。君のわがままだったら、何でも叶えてあげたいですから。

("幸せ"という言葉は自分にとっては最大級の褒め言葉で、それを彼の口から聞けたことにこちらも至上の喜びを感じる。彼のわがままを叶えれば自分も喜びを感じることができる。これまで誰かのために、という意識が希薄だったが、明確に彼の為ならばどんな危ない橋でも渡れそう。そんな気がした)

この歳になって、君のような友達ができるとは思わなかった。できることならば、もっと早く、もっと昔に出逢いたかった。例えば学生時代とかに。

(彼と出会ってから自分の人生は明らかに変わった。ならば、この出会いがもっと早ければ、自分にはもっと別の選択肢があったはずなのだ。もっと出会いが早ければ、自分は何もかも放り出して彼と一緒にいただろう。今だってそうしたい。ほとんどの時間を彼に捧げたい。だが社長という立場がそれを許さないのだ。彼は人を身分で判断し、近付いてくるような人間ではない。自分が社長でなくても、きっと一緒にいてくれるはずなのだ。コロナビールを一口飲むと、口に中に若干の甘みが広がる。その甘みに影響されるかのように、話を明るい話題へ移してみる)

湊くんはどんな学生生活を? 顔立ちが良いから、きっと色々な人にモテたでしょう?

  • No.217 by 宮村 湊  2026-03-24 00:30:00 

……駄目ですよ、「何でも」なんて。忙しいあなたにこうして時間を割いて会って貰えているだけで十分ですよ。

(不意打ちのようなその言葉に一瞬目を丸めたものの、返す言葉にはほんの少しだけ窘めるような色が滲んでいた。もし、自分が彼にハニートラップを今も尚仕掛けている状況だとすれば、この言葉を引き出せた段階で完全に堕としたと理解することだろう。自分の為に何でも差し出すと言う人間ほど操りやすいものは無い。愛というのはそれ程までに人を盲目にさせるものだと理解して、それを利用する側に居たはずなのに、いざ本当に愛する人に差し出された献身は受け取ることが出来なくて。深く話すことは出来なかったものの、純粋に愛を自分へと差し出そうとしてくれている彼を利用するようなことは決してしたく無くてやんわりと相手を傷つけないようにその申し出を断る)

……俺ももっと早くあなたに会いたかったです。

(もし、彼との出会いが仕事で無かったなら、どれ程良かっただろう。誓って彼を裏切るようなことはひとつもしていないが、唯一出会いだけが自分の中では罪悪感として深く残っていた。間違いなく、自分は彼に下心で近付いたのだ。きっとそれは彼が何よりも嫌うことだとよく認識していた為に、余計にその事実は幸せな日々の中でゆっくりと着実に乾き切った心臓に決して抜けない棘を刺すかのようで。柔らかく微笑みながら同調するようにそれだけ返答すると、相手の振ってきた学生時代の話題に、まさか本当のことを話すわけにも行かず困ったように眉を下げながら人差し指で頬を掻きつつ、事実と嘘を程よい塩梅で織り込んで言葉を紡ぐ)

あ、いや………。そんな、ですよ。本当に、浮いた話とかはあまり無くて。特に目立ってる感じでも無かったって言うか。意外、でした?

  • No.218 by 常葉 悠  2026-03-28 17:38:36 

(自分は何か悪いことを言ってしまったのだろうか。今まで自分が何でも、と言えば、多くの人間は遠慮なく"何でも"望みを言ってきた。だから彼もそう言うだろうと思った。そして自分は彼の望みならば、何でも、どんな手段を使ってでも叶えたいと思っている。互いに否は無いはずだ。だが彼はその申し出を断った。ただの遠慮ではなく、もっと含みのありそうな表情で。人間は能力ではなく人柄で選ぶべき。自分はそういう物差しで人間を観察してきた。だから人間観察は人後に落ちない自負がある。彼のことをもっと知りたい。どうして彼があんな表情をしたのか。もっと色々なことを聞いて、その答えを導き出したい。そして自分の想っていることを打ち明ける。自分の中で明確なゴールな定まると、そのゴールへ辿り着くべく会話を続ける)

ええ。とっても意外ですね……君は私とは違って青春を謳歌しているものかと思っていたので。こんなに可愛い顔をしているし、何より君は人懐っこいから、絶対キラキラとした学生生活を送っていると思っていました。

(自分とは違うキラキラとした経験をしているものだとばかり思っていたので、彼の学生時代の実情を知ると思わず目を丸くしてしまった。彼ほど容姿も性格も良い人間ならば、浮いた話がいくつもあると思っていた。彼がそういうのを望まなかったのか、周囲に見る目がなかったのか)

  • No.219 by 宮村 湊  2026-03-31 08:07:23 

誰にでも懐くわけでは無いんですよ。悠さんは特別、です。

(彼との出会いを考えれば、彼が自分の本質を"そう"捉えるのも至極当然で、寧ろそう思われるように仕向けてきた節すらあったので、その点では恐らく成功だったのだろう。一方で今の自分はこれ以上彼に対して嘘を重ねることを良しとしておらず、訝しまれたとしてもなるべく彼に対しては誠実でありたいと考えていた。テーブルに置いたグラスの表面についた水滴を人差し指でなぞりつつ、驚いたように瞳を丸めて此方へと視線を送る相手へと柔らかな微笑みを返す。その笑顔もまた初めて出会った時のものとは違うことに、彼は気づくだろうか。ここで、ふと胸中に不安が広がる。彼への恋心を自覚した頃から彼に対してはありのままを晒して来たつもりではあったものの、彼が好意を抱いてくれていたのは、最初の頃の"作られた自分"だとしたら。ほんの僅かに唇が乾き、睫毛が小さく震える。それを確認することにすら恐れが出てしまい、自分の弱さに内心苦笑してしまう。言葉を探すように唇を引き結んだ後、控えめな視線を相手へと送っては緩く首を傾けた)

…………幻滅、しました?

  • No.220 by 常葉 悠  2026-03-31 22:40:16 

特別、ですか。……ふふ、嬉しい言葉ですね。

("特別"。その言葉は頭の中で何度も響いて、吸収されるかのように消えていく。まるで水を与えられた花のように、彼の一言が自分の中に吸収されていく。全身を多幸感が包む。彼が与えてくれた多幸感を味わっていると、彼の顔色に不安の色が滲んでいることに気付いた。何か言いたげな彼の瞳を見つめて、その唇から言葉が発せられるのを待った)

いいえ、幻滅なんてする訳ないじゃないですか。……嬉しいんですよ。初めて君に会った時、君は私とは全く違うタイプだと思っていました。でも君のことを知れば知る程、私と似ているということが分かって親近感が湧きました。そして君は私の中で大きな存在になりました。

(幻滅なんて言う単語が聞こえた瞬間、即座に否定をする。そして包み隠さず本音を言う。自分でも驚いたが、こんなにも思っていることをすらすらと言えたことは今までなかった。酒の力という訳でもない。間違いなく、彼のおかげだ。胸が熱くなる感覚がした。もう一人の自分が言っている。今だ、と。その言葉に導かれるかのように、言葉を止めて1拍置く。そして身体を彼の方に向けてゆっくりと言葉を発する)

……今から、私が言うことは、聞きたくなければ聞かなくていいですし、不快だったら席を立っても構いません。……湊くん。私は、わ、私は、君のことが好きなんです。ずっと一緒にいて欲しいと思っています。私にとっても君は特別なんです……! 私だけの、湊くんにしたい。そう、ずっと思っていました。

  • No.221 by 宮村 湊  2026-04-03 21:13:24 

(相手からの返答を待つその時間が永遠にも感じられる。グラスに触れた指先がほんの僅かに震えていることに気づき、思わず自嘲してしまった。本当の自分を曝け出すということは、此処までの恐怖を伴うことなのか。今まで、どのような状況でも、どのような相手の対峙していても、その相手に合わせた仮面を被っている時は決して感じたことの無い恐怖が全身を包む感覚。本当の自分を晒して、それを彼に拒まれてしまったら。今更ながらに自分の返答に後悔を感じ始めたその時、薄く開かれた彼の唇から伝えられた返答に対して思わず大きく瞳が見開かれる。初めて包み隠さず伝えた"本当の自分"を真正面から受け入れられ、そんな自分を好きだと告げる彼の姿を視界に収めたまま暫くフリーズしていたものの、徐々にその輪郭がぼやけ始めたかと思えば、頬を何かが伝うのを感じて咄嗟に片手でそれを拭った)

ッ、……あれ、……

(演技ですら流したことの無い涙が自然と瞳から零れていることに気付き、動揺したように上擦った声が溢れる。唯一愛しいと心の底から思った相手に真正面から本当の自分を受け入れられ、好意を伝えられる、そのことが齎す初めて経験するような何にも代え難い幸福感がじわじわと瞳に滲んで零れていくのを止めることが出来なかった。このままでは相手に誤解されてしまうと懸命に手の甲で涙を拭いつつ、今までに無いほど取り乱した状態で懸命に言葉を紡ぐ)

……あ、…………えっと、これは、……その、…………違くて!…………凄く、嬉しくて。俺も悠さんのことが好きなんです。ずっと、ずっと好きで…………だから、…………ありがとう、ございます。ああ、もう………情けないな…………。

  • No.222 by 常葉 悠  2026-04-09 22:39:33 

(彼の双眸からこぼれ落ちる涙に、初めは目を見開いた。これまで彼の明るい表情しか見てこなかったため、彼の涙が自分には何かとんでもないことを言ってしまったのではないかという不安そのものに感じられた。だがすぐに思い直す。彼の瞳からは涙が流れているが、その表情には悲しみの色は見えなかったから。そして、直後に発せられた彼の言葉に、これまでの人生で感じたことの無い程の幸福感が全身を包む。ああ、これか──これが人を愛し、人から愛されるということなのか。もう自分はこの感覚を知らないまま生涯を終えると思っていた。仕事以外に時間を捧げるものもないまま、世を去るのだと思っていた。だが今この瞬間から、自分には彼がいる。この世の誰よりも愛おしい人が。)

……君はそんな風に泣くのですね。またひとつ違う顔が見れたのは嬉しいですが、ほら、これ使ってください。

(ポケットからハンカチを取り出すと、彼の手を取って、その手にハンカチを握らせる。彼の手は柔らかく、そして温かった。同じ男性とは思えない程に。いつまでも手を取っていたかったが、場所が場所だけにそうもいかない。ハンカチを渡すと、コロナビールを一気に呷る。しかし、不思議と酔いが回った気がしない。アルコールよりも幸福感が勝っているということなのだろうか。ふと手元を見るとカウンターの上で組んだ手が小刻みに震えていた。その手を見た途端、全身に力が入っていることを自覚する。身体が石のように硬直していた。自分は緊張していたのだ。だから酔いも回らない。きっとハンカチを渡した時も自分の手は震えていたことだろう)

あ、あはは……緊張、していましたね。君に想いを伝えるのに必死で今まで忘れていました。でも……でも良かった。君も私も同じ想いということが分かって……本当に、良かった……。

  • No.223 by 宮村 湊  2026-04-13 20:43:44 

……ありがとう、ございます。

(自分自身の感情などとうの昔に完全に失ってしまったと思っていたのに。かつて自分が関わった標的が破滅しようと、どうなろうと、それが男性であれ女性であれ、良心など一片たりとも痛むことは無かった。実のところ、自分の本質はそんな救いようが無い人間だと理解していたものの、それでも人を愛する心は完全に姿を消していたわけでは無く深く凍てついただけであったと思い知らされるようだ。自分のような人間が彼のそばに居たら、いつの日か彼を不幸せにしてしまう。彼のような人に自分は決して相応しくない。身を引かなければ。頭ではそう理解しているのに、愛情の飢餓状態にあった心は真っ直ぐに惜しみ無く注がれる愛情を突き放せるほど強くも無く。ごめんなさい、と心の奥底で呟きながら差し出されたそのハンカチを受け取り目元を拭う。彼を幸せに出来るならば何でもしよう。嘘を抱え続けることがどれだけ苦しくても、組織を裏切ることになって、いつの日かその罰を受けることになったとしても。静かに声に出さずにそんな誓いを立てていると、ふと先程ハンカチを渡す彼の手が震えていたことを思い出す。顔を上げればほんの少しだけはにかんだように言葉を紡ぐかれの姿があって、それを見ただけで至極単純なもので、先程のどこか仄暗い感情なんて一気に吹き飛んでしまって、借りたハンカチを丁寧に畳みカウンターの上に置くと、隣で小さく震えているその両手に自らの手のひらを優しく重ねた)

悠さん、……。本当にありがとうございます。俺、……大事にします。悠さんのこと。ずっと大事にしますから。……初めてなんです。こんなに誰かのことを幸せにしたいと思ったのは。

  • No.224 by 常葉 悠  2026-04-17 22:58:19 

(互いに同じ想い。同じ方向を向いていた。なんてことはない。好き同士が一緒になっただけのこと。だから早く震えをやめろ。そう頭の中で必死に言い聞かせても、依然として手が震える。何とか震えを止めて、彼の手を取らないと──そんなことを考えていると、ふと柔らかく温かい感触がした。はっと我に返ると、自分の手を彼が取っているではないか)

……同じですね。私もそうです。君以外の人間を幸せにしたいと思ったことなんてなかった。……私も、君を大事にする。私と一緒になって良かったとずっと思えるようにしてみせます。

(彼の言葉を一言一句噛み締めるように読み込むと、こちらからも彼の手を強く握り、その瞳を見つめながら宣言する。決して雰囲気で言った訳ではない。自分には確かにそういう決意が芽生えたのだ。気が付けば手の震えも止まっていた。彼の言葉のお陰で自分は覚悟することができた。彼を不幸には決してしないと。しかし、だと言うのに何故だろうか。心の一部に靄が掛かっているかのように違和感を覚えた。何がおかしいのか。それは分からない。疲れているのだろうか。自分の考えすぎなのだろうか。そうだとしたら良いのだが、自分が覚えた違和感は、まるで喉に突き刺さった魚の小骨のようなまとわりつくような種類のものになる──そんな予感がした)

(/ 一旦背後失礼します!二人は結ばれましたが、すぐに湊くんの正体がバレる感じにしますか? それとも少し恋人として幸せな日々を過ごさせますか?)

  • No.225 by 宮村 湊  2026-04-23 00:32:55 

(/遅くなってしまってすみません……!少し悩んでいたのですが、正体がバレるところをやりたい気持ちもありつつ、かと言って幸せな日々を飛ばしてしまうのも勿体ない気がしておりまして……ちょっとだけお互いに夢中になっている場面も挟めればと思っています!これは提案なのですが、会える時間が短いのを気にして悠さんの家に一緒に住むことになる流れはいかがでしょうか?その方が日常を描きやすくなると思いますし、湊の本性がバレるきっかけも作りやすくなる気がしています!)

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