◆ -- B U D D Y ＆ B L O O D Y ？ -- ◆

>エミリー

あら、正解だったの。もう一つのほうのドクターだったら日頃の感謝をたっぷり示してさしあげたのに。( 相も変わらず値踏みをするような眼差しのまま自己紹介を受け取り、開発部の人間を"博士"と揶揄しつつ脅かしめいた独り言を / それでいて相手に向けた悪意では無いと肩を竦めて示し、うんざりとした声色で語るついでに名を名乗る必要の有無も確かめて )──そんなに緊張しないで頂戴、怪物扱いには飽き飽きしてんの。ジョン・ドゥだってこの部屋じゃただの人間同然、資料にそう書いてなかった？私達の名前と一緒に。


>オレガノ

……できれば生きてる間にお届けしたかったけど。煽てた所で今の私じゃ祝福も何も与えられやしないわよ、せいぜい「いつでも隣に座っていい」って許しが関の山。( 少女の眼差しも言葉もひたむきであるが故に無機質な実験場では哀れに浮いて見え / 遣り場のない冷笑をせめて相手への嘲りと誤解されないよう、監視者が居るであろうモニター辺りへ顔を逸らしつつぶっきらぼうに提案し )そうね、偶然にも毛色までそっくり。あの子は私にもみくちゃに撫でられるのも好きだったけど、アンタもおんなじなのかしら。( ほとんど初めて目にする笑みに泥を塗る気にもなれず、種明かしを諦めては白々しく頷いて / そのくせ純粋な好意すら悪趣味に揶揄ってみせるのは、ある種のキュートアグレッションのようなもので )