名無しさん 2023-10-18 21:42:16 |
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>>26様
「わかりました。ではこちらに」
小さく手招きして、示した路地裏へと案内する。ここまで上手くいくとは予想だにしなかった。きっと彼は本当にいい人なのだろう。今日自分に依頼が来なければ、彼がこの時間にここに来なければ、彼がグリフォンでなかったなら……きっと今より良い出会いになっていたかもしれない。
また、音が、臭いが、強くなってきた。早く抑えなければ。
無意識に顔の周囲を手で払い、歩く速度も自然と速くなった。
「ここです。このあたりに……」
目的の路地裏に到着するや否や、距離を取るように奥の方へ小走りした。ちょうど行き止まりになっている場所に辿り着くと、何気無い動作で開けておいたトランクから折り畳まれた回転鋸を取り出し、用済みとばかりにトランクを投げ捨てた。
「……あなたには謝らなければいけません。ごめんなさい、本当に」
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