キングダム

(蒙恬に好意を向けられるという事が切なくなるほどに嬉しく、想いをぶつけるよう抱き締め唇を重ねて)…俺もお前が好きだ。

(王賁から好きと言われると胸が高鳴り、胸元に顔を埋めながら)…帰りたくなくなっちゃうな。ずっとこのまま、二人きりがいい。

叶わぬことだが、俺もそう望んでしまう。(蒙恬に甘えられているようで嬉しくて、抱いたまま愛おしそうに髪を撫でて)

(髪を撫でられると嬉しそうに微笑み)…さて、酒でも飲む？

そうだな。(そっと離すと部屋に用意されていた酒をついで蒙恬に渡し)…そういえばあの馬鹿もお前を探していたぞ。

ありがとう。(酒の入ったグラスを受け取り)…あー、体調良くなったら天幕来てって言われてたんだった。忘れてた。(戦の事で聞きたい事があると言われていたのを忘れており)

お前が言っていた祝杯云々とは別件か？(話を聞き聞いてピクリとし。聞き捨てならないとばかりに問い)

別件じゃない？俺も詳しくは分かんないけど。(戦の事としか聞いていないので素直に答えると、グラスに入った酒を飲み)

愛閃といいあの下僕といいお前に寄り過ぎだ。(舌打ちし不平を述べつつ酒を飲み)

えー、信はないでしょ。(王賁の言葉にクスッと笑い)…王賁だって、地味にモテるじゃん。

お前はあれとも仲が良く見えるが。(楽しそうな二人を思い出しやや不満そうに)それに酔うとろくでもない事になりそうだ。

(嫉妬して不満そうな顔をする王賁を愛おしく思い、酒を口に含むと王賁に口移しして)美味しい？

…っ(急な口移しに目を見開くも飲み込んで)…突然何をする、馬鹿者。(少し零れてしまった口元を拭いながら照れ隠しか軽く睨み)

(言葉とは裏腹に顔を赤くしこちらを睨む王賁の頬に手を添えて)…その顔堪んない。

…うるさい。今までこんな事ばかりしてきたのか？(蒙恬らしいといえばらしいのだが、複雑な心境に何とも言えない顔で見つめ)

…聞いたら妬いちゃうでしょ？(見つめられると王賁の頬を軽く引っ張り)

…誰が。(返事を聞いた瞬間胸の痛みを感じるが、平気なふりをして頬の手を軽く払うとそっぽを向いて酒を飲み)

(そっぽを向いてしまった王賁の肩に頭を預けて)今度は拗ねちゃった？

(寄り添われると安心と切なさと愛しさが入り混じり胸がいっぱいになり)お前と居ると気持ちが乱れる。

(王賁の言葉やいつもとは少し違う様子に急に不安になり)…ごめん、嫌だよね。