沢下条 張 2022-12-17 00:45:55 |
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確かに…。けど、僕からはそう見えていたよ。
(彼女の嬉しそうな笑顔を見ると此方も何処か安心し、まるで紫苑のようだと笑われると亜梨子からそっと手を離して。確かにそうだねと苦笑しながら"そう見えていた"と訂正して。現世では両親の元で幸せに育っている亜梨子という少女の顔を此方も喜ばしいように病室のベッドから見上げて。皆彼女が木蓮だと信じていないが、自分と玉蘭だけはもう既に彼女が木蓮だと気付いていた。取り巻く空気が、地球の植物全てが彼女の誕生を喜んでいるように感じ取れるから。少しの間を介しながら意を決するように亜梨子をそっと見つめて)
亜梨子、今は…耳が痛いかもしれないけど聞いてくれる?
君は…そうやって前世の恋人だった紫苑に憧れがあるようだけど、前世の事はもう忘れていいんだよ。
亜梨子には亜梨子という人間(ひと)の未来があるんだから…。今後、紫苑の生まれ変わりと出会ってもその人生は亜梨子のものだよ。…君はもう自由で良いんだ。
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