スレ主 2022-11-13 20:40:05 ID:081af2d4e |
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>>12 フィーネ
宴席は盛況とはいかずとも双方が飲み食いを始め、辛うじて顔合わせの体を保っていた。酒を飲む者、テーブルに並べられた料理を食す者…しかし、それでも双方は互いの姿を警戒するような素振りを見せており、協力関係を築くには未だ少し時間が掛かるようだった。
そんな中でも礼節を弁えている者はいる。フィーネと名乗る回復術師の少女はエレディンの発した問いに対して回答をした。他の者が殆ど会話しようとする雰囲気を持たないこの中で成立した数少ない会話であったろう。
「なるほど。なら、後で聞いてみる事にしよう____エレディンだ。」
フィーネからの挨拶に手短にではあるが返答する。10年前であれば所属する傭兵団の名も合わせて自己紹介が出来たのだろうが、独り立ちした今では自身の名前と『銀狼』の二つ名位しか自身を紹介するのに使えなかった。___最も、二つ名はどこぞの吟遊詩人が勝手に名付けたのでつい最近そういう呼ばれ方をされていると知ったのだが____
「回復術師か。俺はご覧の通り、前線張る身なんでな。いざって時は頼んだ」
フィーネに腰に携えた長剣の柄を見せる。戦争において、兵士は浅手深手に関わらず回復術師や薬学士の世話になる。こと前衛職である戦士であれば尚更であり、一つの場所で仕事をしない傭兵稼業ではそういった治療を満足に受けられる状況は限られていた。この村では少なくとも自分で薬草を煎じて飲む事にはならなさそうだ。
>>14 アーサー
フィーネと何気ない会話をしていると先程の青年がこちらの質問に答えてくれる。精悍ながらも少しだけ幼さが見える彼が自警団の団長、アーサー=レイハントンだ。
「ほぅ...俺の知ってる葡萄酒よりいささか渋みがあるが、これはこれで旨い」
葡萄酒であると伝えられると、エレディンはもう一口酒に口をつける。酒の味を品評して回る程美食家を気取る気はないが、社交辞令位にはと浅い品評を繰り返した。
「エレディンだ。__さっきの音頭は悪くなかった。酒の席で睨み合うのは誰も望んじゃいなかったろうからな」
少しずつ活気付き始めた酒席を見ながらアーサーの勇気を讃える。事実、彼の行動に乗りかかる形でこちらも動けたのだから礼の一つ位は言っておくのは最低限の礼儀であるように思えた。
(/一応訂正しておきますが、エレディンの髪は錫色で緑色ではありません。野暮な指摘ですがご容赦ください)
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