検索 2022-07-09 20:46:55 |
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っ…、確かに僕は自分の過去を知りたかった。でも今更過去を知ったってどうにもならないって分かったんだ。…変に何かを知って、色んな物が変わって今まで生きてきたフィリップという存在が僕じゃなくなる方が怖い
(あの時言い合っていた時とは丸っきり真逆の立場で今のままが良いと答えると相手の動きが固まった。戸惑う声の後作り物のような明るい声が捲し立てるように聞こえてくる。両手で手を包み迫ってくる姿は痛々しくもあってそっと握り返すとぽつぽつと思ったことを口にする。相手の言う通り彼の元に行くことを選んだのは過去を知りたかったからだ。でももし本当に彼が親友だったらという仮定のように今までの経緯や出生を知ることになればそれが良いことにしろ悪いことにしろ自分という存在や居場所が大きく変わってしまうのは避けられない。その結果が今こうして起きている相手との関係の変化なら尚更そんな物欲しくなんてなかった。信じようとした彼に裏切られたこと、何よりも大切な相手に今の自分を否定されたような気になって感情がいつも以上に制御出来なくなるのが分かる。相手に掴まれた手が小さく震えて「…それとも君は僕が記憶を取り戻して、元いた場所に戻って欲しい? 今の、何の記憶を持ってない僕じゃ不十分かい」と静かに問いかけて)
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