鬼神通(〆)

くふっ、つまんないノ。
（耐えきれなくなったように噴き出し、幼い笑みを浮かべると頬杖をついて紅花を見つめ）

えぇー…いきなり何？俺の事翻弄して楽しいぃ？(先程から自分を翻弄しては面白げに悪戯をする蛇骨に今度は自分が拗ねたように眉を寄せて)

楽しいヨ？オニーサン悪戯も好きだからネ。
（楽しげに笑うとまたひょいと顔を近づけ、紅花の唇に自分の唇を重ね）

ほんともー、おにーさんは…っ。(呆れたようにため息をつこうとすれば口が重なり、目を丸くして)

…
（唇を重ねたまま瞳を開き、鮮血のような瞳で紅花を見つめ）

…っ、…。(見つめてくる紅い目が自分の中まで見透かすようで、また、逃げないよう絡めとるようで動けず。誘導されるように口を開いて隙間を開けて)

…くふっ。
（薄く笑い、少しの間唇を重ねたままだったがしばらくして唇を離し）

…っ！ぷはっ、おま、ほんと悪戯すんの止めろ！？(蛇骨の笑い声でハッとすると唇が離れた瞬間距離を取り、袖で口を隠すと羞恥で頬を薄ら染めると睨みつけて)

くふっ、ヤダ。
（幼い子供のように紅花の言葉を突っぱね、相変わらずの笑みを浮かべたままふいと顔を背け)

子どもか！？小花に見られたり、龍鷹にバレたらどうしてくれんだ…。(子どもの我儘のようにそっぽを向く蛇骨に呆れるよう顔を手で覆い。実際は音を立てて鼓動する心臓に早く静まれと念じ、赤くなった顔を隠していて)

そんなの知らないヨ。それにマリーナは何も分からないシ、龍鷹にバレたってオニーサンが止めれば済む話でショ？
（けらけらと声を上げ、ひとしきり笑った後にまた顔を紅花の方に戻すと「それじゃオニーサン寝るネ～。」と言うなり布団を被ってしばらくすると寝息を立て始め)

…はぁ、おやすみ…。(一通り笑えばこちらの都合などお構いなしに寝始める蛇骨にため息を零す。これ以上文句を言っても寝た相手に意味は無いだろうと手で顔を扇ぎながら部屋から出て)

……
（しばらくの間は静かに寝ていたが、夜も更けた頃に目を覚ますと傷口を押さえ、僅かではあったが押し殺した声で呻き)

…傷、痛むのか。薬持ってくるぞ？(楼主としての客寄せが一段落し、他の店の客寄せの声や音を聞きながら廊下を歩いて。蛇骨の様子はどうかと部屋を覗いてみれば僅かに呻くような声が聞こえ、布団に近寄ると大丈夫かと声をかけて)

大丈夫、だヨ。
（少しだけ苦しそうに笑い、傷口から手を離すと紅花に軽く手を振り）

嘘つけぇ、皺よってるぞ。(蛇骨が横たわっている布団に腰を下ろすと眉の間にできた皺を押し。「痛くなくなって、眠れるまでそばにいてやるよ 」と言えば気分が落ち着けるよう緩く頭を撫でて)

…迷惑かけるねェ。
（流石に弱々しい笑みのまま、されるがままになっており）

気にしてないさ、慣れっこだ。(薄ら微笑みを浮かべながら声色を柔らかくして撫で続ければ「何かほかにして欲しいことはあるか？」と尋ねて)

ン～…何もない、ヨ。
（一瞬考え込むような仕草を見せたが、すぐにいつもの笑みに戻って）

ん、そっか。じゃあ目ぇ閉じちまえ。(何も無いなら、と手で蛇骨の目を軽く覆って)