匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( 男女の仲で"責任"という言葉が、世間一般に指し示すものといえば。それこそ、いつかのギデオンが危惧していたような、まとまった額の金銭だったり。もしくは、この世界で女性が一人前として扱われるに足る"夫人"の称号、もとい結婚そのものだったり。特にその前者を、稼ぐ力がないと思われるのは、ギデオンのような優秀な男性にとって不本意極まりない侮辱にあたるのかもしれない、と。そう想像していた答えと全く違うそれが帰ってくれば。──ん? と、まん丸にした瞳をぱちくりと、思わずギデオンの表情を覗き込んで。
しかし、それを咎めるかのように微かに緩く抱き寄せられては。視線の合わない訴えに、そこで初めて。どきり、と胸が高鳴ったのは──嗚呼、わかる。わかって、しまうからだ。誰かにとって有益に、誰にとっても好ましく。そんな存在になれなければ、私は誰からも愛されない。大好きなこの場に身を置くことすら、許されない。その心細い感情を、身に染み着いた価値観を。)
まさか…………、ううん。私も、おなじこと考えてた……、って、言ったら。
ちょっとは……安心してくださる?
( ギデオンさんを見苦しく思うだなんて、まさか、そんなことは絶対に有り得ない、と。そう強く否定するのは簡単だが。優しい恋人が見せてくれた、繊細な心の柔らかい部分を、強引に否定しようとは思えず。いつもギデオンそうしてくれるように──こつん、と額を合わせれば、「ほら、あの時はグランポートの市長に誤解されていたでしょう……」と。観念したように零した苦笑いは、相手ではなく己に向けた自嘲で。
──あのね、それで……私、本当は……あの時すこし、嬉しくなってしまったの。
そう白状する頬が、自分でもかあっと赤くなっていることが見なくてもわかる。気持ちを通じあわせたこと自体、やっと数ヶ月前のことだと云うのに。人から"結婚"していると誤解されるくらい、それだけお似合いに見えたこと、たったそれだけのことに浮かれていただなんて。我ながらあまりにも子供っぽくて。 ──"厄介だ"と、やはりあの日。他でもないギデオンがそう言っていた言葉を思い出せば。呆れられたらどうしようと、この期に及んで怖気づき。続けた言葉も、ついつい言い訳じみてしまって。 )
ああでも、待って、……ちがうの!!
ちゃんと"わかってる"し、本当に! 私はギデオンさんと居られればそれでいいって、そう言いたかっただけで……貴方に淋しい想いをさせるつもりは、なかったんです。ごめんなさい……。
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