Petunia 〆

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匿名さん  2022-05-28 14:28:01 
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  • No.903 by ヴィヴィアン・パチオ  2025-06-30 01:17:20 




……信じてますからね。

 ( ──ああ、全く本気にされていないな。こういった時、説得力に欠ける自分の社会経験の無さがもどかしくて、むうと唇を尖らせつつも、上半身の距離感を正常に起こした娘にはまだ、相手の密かな動揺の真意は読み取れなかったらしい。それでも、『“お前を”頼りにしている』と言う相手に一旦矛を収めるくらいには、その言葉を嬉しくも感じていたものだから。まもなく来たる建国祭、頼りにするどころか、一人の個人としてさえも認められていなかったと信頼を裏切られ、二人がひどくすれ違うのはまた別のお話。
 閑話休題。そうして、手元の書類に再度向き直れば、手元のそれを便宜的な制度と見做しつつも、憧れの相棒届が手元にある感慨に、気づけばため息を漏らしていた。かつて、やはり相棒関係にあった先輩方お二人へ憧憬の念を向け、そんないいもんじゃないと、身寄りのない者同士の利害関係だと切り捨てられて、うすら寂しい思いをしたのはいつのことだったか。この関係だって、あくまでギデオンの負い目を減らすためのギブアンドテイクにすぎないのだが、それを承知の上、密かに幼少期からの夢に浸るくらいなら許されるだろう。──ギデオン・ノースの相棒ヒーラー……なんて。赤く艶のある唇に弧を描き、ヴィヴィアンの署名のために残された空欄の上の欄、男性らしい筆跡で滑る剣士の名をそっと撫で、手に取ったペンに魔力をこめると。窓から吹き込む外の風は、いつの間にか夏らしい雰囲気を纏っていた。)

__……その、私ばかり……じゃなくて。
どう、したら……ギデオンさんにも、喜んでいただけますか……?

 ( そんなガダウェル山脈でのタブラ・スマラグディナ捜索、及び初めての相棒契約から約一年。その間様々な事件が二人を取り巻き、その関係性に"相棒"以外の称号が加えられても。──優しい相手から貰ったそれ以上に、自分もまた相手のために尽くしたい、という想いはずっと変わらなかった。
 とはいえ、まさか本人も、それが褥の上でも対象だとは、自覚していたわけでは決してあるまい。
 時分は建国祭直前、救世主の祝日の関係でギデオンとヴィヴィアンのどちらも早く帰りつけた夜のこと。今日も美味しい夕飯に舌鼓を打ち、後片付けも終えたいつも通りの団欒の時間。愛しい恋人の腕の中、ネグリジェから透ける胸元まで真っ赤にした娘の声は、その至近距離をもってしても、消え入りそうにか細いもので。先日、初めて迎えた夜は予想外の事情がきっかけだったが、ギデオンの想いにやっと報いることが出来た満足と同時に、一つ叶えばまた一つと欲が出るのは我儘だろうか。未だ完遂には至らぬ触れ合いに──今度、もしまた誘っていただけたら、と。密かに決めていた勇気を振り絞ると、透きとおった金髪がさらりと隠す耳元へ、震える唇をそっと寄せて。 )

……教えて、いただけませんか、



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